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肉体の学校 (ちくま文庫 み 13-2)

肉体の学校 (ちくま文庫 み 13-2)

肉体の学校 (ちくま文庫 み 13-2)

作家
三島由紀夫
出版社
筑摩書房
発売日
1992-06-22
ISBN
9784480026309
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肉体の学校 (ちくま文庫 み 13-2) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

本編は、三島の長編小説の中ではマイナーな部類に属するだろう。旧華族の出身であり、夫とは離婚しながらも経済的にはきわめて恵まれた、主人公の妙子。彼女の恋の相手は下層階級の出身ながら、すこぶるつきの美貌に恵まれた千吉。こうした構図からは、すぐさまかつての『禁色』が想起される。たしかに途中までは、よく似た展開を示すし、千吉の挙措に一喜一憂し、翻弄される妙子が描かれてはいるのだが、最後はなかなかにクールだ。この小説では、妙子のファッションまでが多彩に描かれていて、この面でも三島の審美眼の確かさを明かしている。

2012/12/08

優希

面白かったです。離婚成金の女性たちの男の品定めなんて贅沢な悩みですよね。しかもそのうちの1人が惚れたのが美形のゲイ・ボーイというのが何とも言えません。元貴族とゲイ・ボーイの恋の行方はどうなるのか少しドキドキしました。心底惚れているから振り回されたりする様子などは軽快で、予期せぬ方向に物語が進んでいくのが楽しいです。三島の思う恋愛観や恋の駆け引きのあり方が伝わって来る作品。清々しいエンタメでした。

2016/10/08

つねじろう

三島由紀夫の得意領域、貴族趣味の華やかでスノッブな話。よって筆は闊達で明るい。地位もお金も仕事もあって男性に依存しなくても立派にやっていける39歳の妙子。ある日ゲイバーで21歳の魅力的な男性千吉を手に入れる。手に入れたとたんに大きく心も体も支配されそれを失うことへの不安と愛の主導権争いに独り相撲で右往左往する彼女。最後も卒業を気取って男前風に決着をつけるがやせ我慢が見え見えで逆に可愛らしい。結局のところは自己欺瞞だと思うけどね。男はそれが出来ず女はそれで割り切る。そいう意味ではハードボイルドでした。

2015/10/19

こばまり

天下の三島を捕まえて言うことじゃないがうまい、うまいナァ。繊細な心理描写に何度もため息が漏れた。諧謔的な「命売ります」もよかったが、メロウな本作が断然私好みだ。傲岸な若さも美しいし、大人の痩せ我慢も同様に美しい。嗚呼、次は何か屈託の無いものを読みたい。

2015/12/16

最高でした!!★★★★★ 妙子の気持ちが良くわかるし、千吉みたいな男に女は振り回されるのが好きなんだろうなと思います。しかし千吉のツンデレな扱い方にはこっちまで妙子になり代わって本当にキュンキュンしました。あんなに振り回されてたのに妙子が最後は千吉をツンと離すところがカッコイイですね。

2014/05/06

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