夢野久作全集 3 (ちくま文庫 ゆ 2-3)
夢野久作全集 3 (ちくま文庫 ゆ 2-3) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
江戸川乱歩と谷崎潤一郎のエログロ要素が詩的に煮詰まったような作品集。「猟奇歌」は「悪徳のすゝめ」の如き、言葉遣いと内容に心に仕舞われている無邪気な残虐心が愛撫されているようでゾクリとしても読み進める内にとうとう、やり遂げた悪戯をしてその虚しさに不安と寂しさを覚えるような気分になりました。「鉄鎚」の「悪魔は誰か」と言う命題は誰にも当てはまると思います。
2012/03/19
ねね
あやかしの鼓の因縁めいた設定や描き方が好きですねえ。でも甥の正体に言われるまで気づかない、言われた途端に素直に信じるという強引な書き方が久作らしさ満点で好きw鉄槌が案外と心に響いた。妾の女の描き方や、己の頭の中の残酷さを完全に無視している主人公の描写等、知らなかった久作の魅力がありました。あやかしの鼓は江戸川乱歩的雰囲気があるなあと思っていたら、乱歩が酷評していたと知って驚き(^.^)押絵の奇蹟の方を絶賛していたらしい。いずれにせよ不思議な魅力、引力のある作家です。
2017/03/31
カーゾン
M:あやかしの鼓、押絵の奇蹟、鉄鎚、けむりを吐かぬ煙突、が好み。数年置いて再読したらまた違う発見が出来る気がします。
2020/11/25
にゃんころっく
三巻は猟奇歌から始まり、あやかしの鼓、押絵の奇跡などの短編集。個人的に『童貞』は好きな一編。何年も経ち読み返すと気になる一節は変わるものですね。また感想も変わる読書の楽しさを再確認しました。
2015/02/01
かがみん
夢野久作名義のデビュー作「あやかしの鼓」、奇怪な詩編「猟奇歌」等を収録。中でも「悪魔祈祷書」が面白い。一行目から久作節全開。多分こういう作家はもう現れないのだろうと思うと、一編一編丁寧に読んでしまいます。
2011/12/16
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