夢野久作全集 8 (ちくま文庫 ゆ 2-8)
夢野久作全集 8 (ちくま文庫 ゆ 2-8) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
頭の中身がミキサーにかけられて常識では「狂気」と呼ばれる正気を極彩色でカラーリングしたような短編ばかりでした。大好きな「瓶詰地獄」は手紙が逆だからこその耽美と哀切が生まれたと思います。神様の言葉はちぃとも矛盾に生きる私達を救ってはくれず、追い詰めるだけなのだ。「少女地獄」は千野帽子氏の文藝少女小説の書評で紹介されていました。「彼女を生かしたのは空気です。彼女を殺したのも空気です。」という言葉が色んな所で当て嵌まりそうで印象的でした。言葉も独特の可笑しみがあるので映像化したら素晴らしい美しさになるだろうに。
2012/03/24
いりあ
少女地獄が読みたくて買った短篇集。お話ごとにさまざまな地獄が目の前に展開します。どの短編にも漂う狂気がすごい。江戸川乱歩のエログロに狂気やキチガイを加えると夢野久作になると思う。読後まで残る、この感覚はクセになります。
2011/09/22
なめこ
北村薫のエッセイで紹介されていた「瓶詰地獄」、確かに作者の時系列設定ミスと思えなくもないし気にせず読み進めてしまうこともできるけど、時系列が正しくて逆に登場人物の語りが嘘だとしたら…、これは昨今はやりの叙述ミステリなんかひっくり返るほどミステリアス。ほかに、一足お先に、狂人は笑う(青ネクタイ、崑崙茶)、キチガイ地獄、復讐、冗談に殺す、木魂、少女地獄(何んでも無い、殺人リレー、火星の女)収録。全編とおして「脳髄の空虚を眼球のうしろ側でジイッと凝視」(木魂)しっぱなし。
2015/02/26
チエコ
少女地獄、キチガイ地獄が面白かった。ドグラマグラとこれを読めばだいたいいいかなと思う…
2015/06/04
すい
精神病患者の話が多かった。 本人が何回も話して、あれ?みたいのとか壁に向かってたとか…。人の無邪気で黒いところと無意識のところを引っ張り出して、そこだけ分かるようにしたみたい。泉鏡花のあとなので、読みやすかった。
2014/08/30
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