夢野久作全集 9 (ちくま文庫 ゆ 2-9)
夢野久作全集 9 (ちくま文庫 ゆ 2-9) / 感想・レビュー
やまかぶ
『ドグラ・マグラ』が一冊に丸々収録されている。自身のことが全く思い出せない青年とともに、その正体と謎を読者も共に探っていく物語。第一関門であるキチガイ地獄外道祭文は、啓蒙&精神病院の実体をディスっている和製ラップと捉え、割合楽しく読めた。続く、作中に登場する医師の、ちょっと眉唾な、しかし説得力のある論文も面白い。いよいよ事実が煙に巻かれ行きつ戻りつする後半に疲労困憊、読み進めながら、全ては胎児の夢の如く、終わりから始まりへと閉じていく。こんな作品をこの時代によくぞ書いたと思う。
2016/02/24
いりあ
ちくま文庫から刊行されている夢野久作全集の第9巻。著者が、構想・執筆に10年以上の歳月をかけた日本探偵小説三大奇書の一つ「ドグラ・マグラ」です。「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」と言われていますが、精神に異常はきたさないですが、何を読んでいるのか分からなくなる瞬間はありました。言葉の迷宮に迷い込んだ気分です。ただ、日本語の面白さを感じることの出来る文章です。1935年発表の作品ですが、むしろゼロ年代にあってもおかしくない作品なのではないかと感じました。
2021/03/14
イボンヌ
文字の洪水でしたが、なんとか読み終る。20年かけ、ノート18冊を基に書くという情熱に圧倒されます。もう一度読まないと全貌がつかめそうにない。
2016/10/18
ganari
1935年。難解な言葉遣いも多用されているため、全体像を把握することで精一杯だった。この分厚い本の中で、あらゆる循環が行なわれていることに気づく。私は何者かという哲学の反復、輪廻転生による血の伝承、学術的認識論における物質論から精神論への回帰など。これは強烈なイデオロギー的思想を暴露した小説でもあり得るし、空想の世界を冒険するトムソーヤともいえるだろう。運命予定説の一種なのかもしれない。危険な小説だった。
2013/10/13
α0350α
ブウウーーーンンン…。何回目の再読か忘れました。やっぱりこれは全体の構成をなんとなく掴んでの再読からが本番ですね。アンポンタンポカン君の脳髄演説や正木先生の語りが良いですね。狂人たちの描写も好きです。終盤までは理解して読んでいるつもりなんですが、解放治療場の鍬は何のために必要で何故あれが大成功なのかでいつも挫折してしまいます。また何年後かに再読したいと思います。ブウウーーーンンン……。
2012/10/12
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