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遊覧日記 (ちくま文庫)

遊覧日記 (ちくま文庫)

遊覧日記 (ちくま文庫)

作家
武田百合子
武田花
出版社
筑摩書房
発売日
1993-01-21
ISBN
9784480026842
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遊覧日記 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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どんぐり

写真家である長女の花さんと一緒に浅草、青山、代々木公園、隅田川、上野、富士山麓、京都などあちらこちら訪れて記したエッセイ。人にはもって生まれた資質というものがあり、武田百合子さんの文章を読むとミューズが宿っているのではないかと思うほどである。時にそれを文才とも言うけど、これは誰もが真似のできるものではない。どうしたらこんな文章をかけるのだろう。羨望とともに、文章に酔いしれた。 一文を挙げるとこうだ。 「上等そうな銀色の着物に銀色の帯をしめた中年過ぎの人が、石畳につまずいたかして、つんのめった。思わず衣服を

2016/05/07

アキ

母娘のさりげない日常の小旅行。昭和の薫り残る浅草、上野、隅田川。昔こんな風景があったなと思わせるうす汚れた路地や、怪しげな店員をそのまま短い文で情感抜きに描写してゆく。移ろいやすい東京の街の変化が一文で唐突にあり、読んでいるものの情感を刺激する。Toi booksの店長が、まるでルチア・ベルリンのような文章と紹介してくれた武田百合子の日記には、娘Hの写真がうまい具合に合いの手を入れていて微笑ましい。夫泰淳は「生きている者より死んだ者の方が日々記憶に新しく生きているんです。」家族に恵まれた幸せが底流にある。

2019/11/05

こばまり

読友様が「富士日記」読んでおられたのをきっかけに、私はこちらを何度目かの【再読】。今から15年近く前だったろうか、大型書店で見知らぬ女性から「あなたが薦める本を買いたい」と呼び止められたことがあった。その時にもこの一冊を選びました。

2015/12/23

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

何度目かの再読。確か、お花見の話があったはず……と、お花見のお供に持って行き、公園で読んでいたら、桜の描写は少なく、花見客のすさまじい描写の連続にやられてしまった。花見の話だけ読むつもりが、ついつい全部読んでしまった。

2016/03/31

penguin-blue

百合子さんが娘の花さんと一緒にあちこち遊びに行った話を主に集めたエッセイ集。「犬が星見た」でも思ったけれど、百合子さんはこわい書き手だ。たとえば京都なら京都、浅草なら浅草なら通常書かれると思しきもの、いわゆる観光名所などの話は枝葉にすぎずどこにいても目の前で印象に残ったもの、出来事を見たまま、感じたままに切り取る。飾りや遠慮がなく、独特だから時として書かれる方には不意打ちで、容赦がない。毛穴まで書かれそうな感じ。でもだからこそ、街の喧騒や匂いや、夏のむっとした暑さまで伝わってくるような真実っぽさを感じる。

2020/04/19

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