見晴らしガ丘にて (ちくま文庫 こ 9-1)
見晴らしガ丘にて (ちくま文庫 こ 9-1) / 感想・レビュー
ワッピー
昭和レトロそのものだが、その中を通過してきた身としては懐かしく、またうんざりする濃厚さを湛えています。見晴らしガ丘周辺に展開する女と男のドラマはありふれているようで、決して古びない普遍性があるのかもと感じました。「初恋」のロォマンス、「ご相談」の強かな拝み屋さんのインパクトは大。いつの時代も親との葛藤は大きなテーマですね。シンプルな線なのに「匂い立つ」という言葉にぴったりくる情感、適度にキモカワイいくて憎めない男たちを手玉に取る女性キャラたちの強かさを愉しみました。だが「ご相談」のオヤジ、あんたは退場!
2022/06/04
pirokichi
近藤ようこさんの作品を読むのは『死者の書』につづいて二作目。見晴らしガ丘に住む老若男女それぞれのささやかな物語。どれもよかったが『初恋』、『GAL’S LIFE』、『プレゼント』が好きだった。青空に干すわずかな洗濯物、辛いことを言わない幼なじみの寝顔と寝息、さみしさに抱きしめるぬいぐるみ、あつあつのごはんにパラパラ舞い落ちるかつをぶし…に胸がきゅんとなる。裏表紙に「珠玉の11篇」とあるが、収録されているのは何度数えても10篇しかない。もう一篇はあなたの(私の)物語ということなのだろうか。
2020/12/20
ノベツ
純文学的短編漫画。どれも身につまされる。テーマ選び、描き方が繊細で美しい。『かわいいひと』が一番好き。まったく可愛くないけど。
2019/09/08
しゃちべえ
こちらも図書館で借りる。郊外の街「見晴らしガ丘」を舞台に、様々な世代の人々の一場面が連作形式で描かれる。だいぶ前の時代だけど、人のやること、感じることはあまり変化がない。テーマをメインに据えて作品を作らないせいか、時が経っても変わらない何かがあるように思う。文庫で手軽に読めるのはいいが、紙がぺらくて、裏が透けて見えるのが残念。
2013/04/27
くろばーちゃん
このマンガが出たのが1985年で私が10代の頃。当時はこの作品はおろか近藤さんの存在も知らなかった。でも、それでよかったと思う。当時の私にはこの作品はピンと来なかったんじゃないかと。この年齢になって読んだから熟年の恋もわかるし美しいと思える。みんなそれぞれいろいろあるよね。人間っていくつになってもなんて切ないんだろうってつくづく思った。
2020/08/05
感想・レビューをもっと見る