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灰燼 かのように―森鴎外全集〈3〉 (ちくま文庫)

灰燼 かのように―森鴎外全集〈3〉 (ちくま文庫)

灰燼 かのように―森鴎外全集〈3〉 (ちくま文庫)

作家
森鴎外
出版社
筑摩書房
発売日
1995-08-24
ISBN
9784480029232
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灰燼 かのように―森鴎外全集〈3〉 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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優希

晩年の作品がおさめられているのでしょう。円熟した筆が冴えてます。ただ、格調が高すぎて、読ませるのを苦手とした文豪なのかなと妄想してしまいました。

2022/02/12

Major

大逆事件があった翌年1912年の思想統制が強まる中で出版された著作である。警察高等課の取り締まりの対象として逮捕、著作は発禁になる可能性があった。軍医のトップである(中将に相当)陸軍軍医総監の地位まで手にした鴎外が、主人公秀麿をして、この国の天皇制の礎にもなっていた、いわゆる万世一系の皇国史観への懐疑を吐露させている。これはしかし、諸刃の剣で政府•軍部としても、軍部の将官、鴎外に対して取り締まりを断行すれば、かえって自ら権威失墜する恐れがあり、踏み切れなかったのだろう。

2024/11/03

こうすけ

鴎外全集その3。未読の、マイナーな作品ばかりでありがたい。カズイスチカ、灰燼がよかった。特に灰燼。未完ということで、これはぜひ長編で読んでみたかった。主人公がサイコパスなのもよいし、トランスジェンダー(?)の、光太郎のキャラクターが光っている。居候先の娘との関係も気になるところ。どうなっていたのだろうか。鼠坂は、怪談話の形式を借りた、日露戦争時の、大陸における日本軍の蛮行を告発したものではないかと思われる。鴎外も実際に大陸へ随行していたのだから、こういう話はよく耳にしたのではなかろうか。

2023/08/23

A.T

明治45年前後の作品をまとめた鴎外全集3巻目。まだ代表作の「阿部一族」などの歴史物には着手していない。江戸時代に生まれ明治の時代の中枢にどっしり構える主人に、明治生まれの書生が抱く批判精神が絡みつく「灰燼」。一見、平静な日常のシーンからじわじわと亀裂を入れるように暗部を覗かせる。未完のままで惜しいが、何度も繰り返し読める洞察の深い作品だ。

2019/09/15

しゅん

『灰燼』『不思議な鏡』などを拾い読み。人間の動きや関係性、風景などを描く所謂普通の小説が突然哲学書のような思念的な言葉の連なりに変わって驚く。小説的な言葉と哲学的思索の言葉の結びつきも薄く、かなり奇妙な印象だ。『かのように』が正にそうした作品だが、ところで主人公秀麿のすべてのものは起源や実体がある「かのように」成り立っているという論理は自分にも思い当たる節がある。それに対する友人綾小路の冷淡な反応も含めて、我が事のように感じた。『灰燼』もほんとに唐突な終わり方だけど、あれは未完ってことでいいのか…?

2016/08/31

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