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私の遍歴時代 (ちくま文庫 み 13-5 三島由紀夫のエッセイ 1)

私の遍歴時代 (ちくま文庫 み 13-5 三島由紀夫のエッセイ 1)

私の遍歴時代 (ちくま文庫 み 13-5 三島由紀夫のエッセイ 1)

作家
三島由紀夫
出版社
筑摩書房
発売日
1995-04-01
ISBN
9784480030283
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私の遍歴時代 (ちくま文庫 み 13-5 三島由紀夫のエッセイ 1) / 感想・レビュー

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KAZOO

三島由紀夫は「春の雪」をはじめとする4部作はかなり読んでいるのですが、そのほかの本は全集などでさらっと読んだだけでそんなに入れ込んではいませんでした。ただこの本は沢木耕太郎さんが読んでいたとのことで、手に取ってみました。エッセイ集で表題作をはじめとする、三島の本音のようなものや少年時代などの思い出があり彼の本音的なものも知ることができたように感じました。この本を含め彼の作品を再読したい気にさせてくれます。

2024/04/27

青蓮

三島由紀夫のエッセイ。「わが思春期」を読むと三島もごく普通の少年であったのだなあと感慨深く思います。現代と比べると男女交際や性的な部分ではかなり抑圧的ですが。それも時代。「私の遍歴時代」では太宰治と対面したことが書かれています。三島が太宰を嫌っていたのは有名なエピソードですが、それでも彼の才能は認めていたらしい。三島が太宰を嫌う理由はこのエッセイを読んで腑に落ちました。三島は私が思っていたよりもずっと健康で健全な人物で真っ当でした。どうしても彼の最期を知っているだけに不健康なイメージがありますが。

2019/07/11

安南

太宰治を訪うエピソード、これは酷い。太宰ファンを敵に回す。でも、当時太宰は新進気鋭の人気作家。若い三島が反発しても痛くも痒くもなかっただろう。旧華族の描写が間抜けてると得意げに『斜陽』批判をしている。作品のイメージから誤解されがちだが、三島は、華族出身でないことはもちろん、特別裕福な家で育ったわけでもない。エリートだが単なる役人の小倅。対して太宰は、正真正銘の貴族議員の子息で、その地位を買うほどの富豪の出。同じぼんぼんでもスケールが違う。だからこそ尚更に、くやしくて、我慢ならなかったのかもしれない。

2014/12/31

keiトモニ

独楽の項で、昭和45年春少年が三島氏邸の塀外に立ち言う“一番聞きたい事はね…先生はいつ死ぬんですか?この質問は私の肺腑を刺した”。氏は11月に死にますから、少年よ、見事じゃ。解説に“現代は概ね軽い喜劇の時代、アイドル・スポーツ選手等々がテレビにでて…危機を感じ人間の成長や人格の完成を目指す事としっかり結びついている”…20年前も同じで人間の成長は見られませんね。美しく生き美しく死ぬというのは、古代ギリシャの念願…ほほう。“生きる方は未だしも、どうしたら美しく死ねるのか”私なんざ、野垂れ死にとなりましょう。

2014/12/19

白のヒメ

三島由紀夫が17歳から26歳までの間の回顧を、エッセイとして30代に書いた本。印象としては非常に真面目で堅苦しい感じ。小説の大胆さは無い。同性愛者なのに見合いで結婚するという事もそういう真面目さを表しているんだろう。銀行家のような小説が理想であると言い、毒があるから魅力があると言う。現代を生きる私から見てみると、三島由紀夫本人が銀行家のような人物であって、小説こそが毒で凝り固まっているものだ。彼は創作という吐口が無ければまともに生きていけない芸術家だったけれど、それを冷静に認めているのは凄いと思った。

2014/01/03

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