芸術断想 (ちくま文庫 み 13-8 三島由紀夫のエッセイ 4)
芸術断想 (ちくま文庫 み 13-8 三島由紀夫のエッセイ 4) / 感想・レビュー
kaoru
昨日は憂国忌だった。映画『憂国』の製作記、映画評、歌舞伎や演劇評など三島の多才ぶりが披露され、ドラマを愛した人だったと改めて感じる。テネシー・ウィリアムズの寸評には三島の隠れた優しさが覗き、戯曲『去年の夏、突然に』のセバスチャンと母の心理を描く文章には三島と実母の不思議な関係が重なった。六世歌右衛門を「女形の宿命を身に引き受けた、貴重な宝石のような存在」と評するなど三島らしい華麗で鋭い比喩が随所に見られ、批評家としても一流だったと思う。小林秀雄に「才能の魔」と呼ばれた多面的な天才、三島を理解できる一冊。
2020/11/26
MASA123
前半100ページが「芸術断想」でこれは、昭和38年8月~39年5月・雑誌芸術生活に連載されたエッセー。wikiによると、「三島が鑑賞した能、歌舞伎、戯曲、映画、オペラ、バレエなどの評論、芸術論を綴った随筆である」。エッセイの最後に書かれてる「舞台から向こう側に属する人たちのほうが、観客よりもいつも幸福そうに見えるのは何故だろう」という記述がとくに印象に残った。田中美代子の解説でも「観客の恍惚と不安」という見出しで、「芸術の享受者の立場」に言及している。後半は文庫本編集のために、追加した映画評や舞台評。
2024/07/12
双海(ふたみ)
「憂国 映画版」の「製作意図及び経過」と「加藤道夫氏のこと』が印象に残っています。それにしても一度、「憂国」を観てみたいものです・・・。
2014/03/22
みゆきちゃんが好きー
面白かった。能「俊寛」の別れのシーンに対する指摘はすごく適切に思った。他も、冷静で敏感で素朴な意見が多く、三島のいいところが出てるエッセイだと思った。ダンボの酔うシーンを三島が好きっていうのは、とても似合って笑ってしまった。
2011/02/02
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