泉鏡花集成 3 (ちくま文庫 い 34-3)
泉鏡花集成 3 (ちくま文庫 い 34-3) / 感想・レビュー
ほうすう
難解な鏡花作品の中でも読みやすいと聞いて「照葉狂言」を目当てに手に取ったがたしかに読みやすかった。感想としては、前半は良かった。幼い主人公、二人の姉、近所のガキ大将とほのぼのしさと美しさが混じりあい、どこか微笑ましくジブリ作品のような雰囲気も感じた。ただ後半はあまり好きではない。主人公の発言というか発想が時代柄を考えたとしてもあまりにひどくないか?と思うこともあり、挙句の果てにどちらを選ぶべきか悩んで出奔。正直理解できなかった。他の作品でいうと「龍潭譚」が好み。
2019/03/28
クリイロエビチャ
2年半前に読んだ時と読後感がだいぶ違った今回、年を取ったせいだろうか。だから、読み返しというのは面白い。「註文帳」は『黒壁』に収録されていても良かったな。若く美しく凛とした女というのは鏡花作品には良く出てくるが、それが怨念となった時にどれほど恐ろしくなるのか。「湯島詣」の源ちゃん。最悪に身勝手で迷惑なポジティブ野郎だけれど、浮世離れした人物たちの中で、彼だけずいぶん人間味がある。今回蝶吉と梓よりも源ちゃんに気がいってしまった。やはりこれも年のせいか。「葛飾砂子」はふわふわ感が気持ち良い。これは変わらず。
2014/10/22
Y.Yokota
どれも結びの句が素晴らしい。「化鳥」のそれなんて思わずため息が出た。母子の愛、男女の愛を鏡花ならではの視点で書く。その点で母子へ発展しない「湯島詣」の筋書きは珍しい気がするし、その断絶になお悲しく思う。
2016/09/17
じめる
「化鳥」が……良かったです……それはね、大きな五色の翼があって天上に遊んでいる美しい姉さんだよ。「龍潭譚」斑猫……白い玉のような乳。姉さん。女性憧憬。やはり、どれも優れているけれども幻想が一級品。
2013/12/14
クリイロエビチャ
この巻に収録されている作品の中で一番は「湯島詣」。物語の始めは多少冗長さがあるものの、結末に向かっての盛り上がりは本当に凄い。蝶吉と梓は死ぬより他なかったとは思うが、竜子の思いの深さに悲しくなる。「誓之巻」は最初から読みたい。「化鳥」は母親が異常。「葛飾砂子」の霞がかったような雰囲気はなかなか。小品だけど妙に印象深い。「勝手口」は妾の生活というものを学べる。「註文帳」底冷えのする読後感。
2012/03/29
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