鳥の歌 (ちくま文庫 う 16-1)
鳥の歌 (ちくま文庫 う 16-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
タイトルの「鳥の歌」は、カザルスの故郷カタルーニアの民謡に基づいて作曲されたカザルスの曲。1971年世界国際平和デーにて国際連合本部で演奏されて大いなる感銘を与えたことで有名。たしかに心に沁みる音楽だ。本書は、不世出のチィエリスト、カザルスを周縁から、またカザルス自身の言動から浮かび上がらせようとした試みである。どこをとっても彼の天才性と、人間的な偉大さ、そしてそうした真摯さゆえにちょっと踏み外してしまうカザルスが浮かび上がってくる。サラサーテやパデレフスキーとまで親交があったなんて実に驚きだ。
2017/01/05
イプシロン
偉人と呼ばれる人たちの自伝や手記や語録集は、いつでも感動をはこび来る。ヘレン・ケラーとサリバン女史。辺境医療の父シュバイツァーの自伝には感動したが、このカザルスの『鳥の歌』も素晴らしかった。きっと人物伝には「人間ていいな」という気持ちにさせてくれる秘密が詰まっているのだろう。美化されている部分はあろう。しかし、そうであっても彼や彼女たちが「努力の人」であったことは間違いない。生きることそのものへの努力家なのである。カザルスの場合、生きることを昇華させたのがチェロであり音楽であり平和活動だったのだろう。
2021/01/13
あやの
カザルスについては「鳥の歌」と「伝説級のすごいチェリスト」くらいの知識しかなかったが、本人や周辺の人々の言葉を集めた本書により、カザルスの人物像が浮かんできた。演奏についてはやはり「神」のよう。そして、独自の哲学とも言える様々な「こだわり」が垣間見える。Rシュトラウス、ドビュッシー、シュバイツァーなど、関係者もそうそうたる面々で、さすが巨匠の世界は違う……
2017/02/04
らくだ
チェリストであるパブロ・カザルスのエピソード集。時々涙が出そうになる。音楽家ではなくても情熱的に生きることは何よりも素晴らしいことだと思う。また、音楽家たちの音楽家であるが故の感情の激しさは胸を衝かれるようだった。
2013/08/21
うた
すわ、この頑固じいさん。でもカザルスの音がとてつもなく高いところから響いてきて、しかも体の奥底、深いところまで届く理由がわかったような気がする。
2009/10/29
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