肉体への憎しみ (ちくま文庫 む 7-3)
肉体への憎しみ (ちくま文庫 む 7-3) / 感想・レビュー
Miho Haruke
端正な文体でスポーツと人間関係を描いた小説やエッセイ。いっけん村上龍ふうにも見えて決定的に異なる。濫読児童だった頃なんと不思議な名前!と手に取ったときは片岡義男かと思い全くぴんとこなかったが、30年以上たって読み直して、この作家は全部読まなければと決意した。(片岡義男も全部読まなければと決意している、それがなんだということはないが)「肉体関係」というクレイジーケンバンドの楽曲があるが、スポーツも恋愛も確かに肉体関係でありもちろん精神関係なのだ。頭が悪いとスポーツはできないし体を使わないと恋はできない。
2012/07/31
siomin
「美文家」といったらこの作者だと思っていますが,スポーツに向き合い,肉体への眼差しを描いた作品を集めたこの一冊もすばらしい。この作品に取り上げられた短編は大抵良くない結果に終わっているのも注目するところ。
2023/02/09
てら
虫明亜呂無という人はおそらくほとんど読まれなくなっていると思うが、非常にもったいないことだと思う。簡潔で、にもかかわらず無限のイメージを想像させる奥行きを持つ文章。「人間ドラマ」などではない、非情なまでの技術と精神(と肉体)の世界を描く。ノンフィクションだけでなく、フィクションでも非凡であることを本書で確認できる。このようなスポーツライターが再び日本に現れることはあるだろうか。
2014/04/13
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