百日紅 (下) (ちくま文庫 す 2-9)
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百日紅 (下) (ちくま文庫 す 2-9) / 感想・レビュー
hiro
朝井さんの『眩(くらら)』は、絵師・お栄の嫁入りの後から晩年までを描いている。一方、この『百日紅』は、北斎、嫁入り前のお栄、そして善次郎の三人を中心に、当時の人たちが好きそうな怪談話、裕福な人・貧しい人の生活、食べ物、商売、風俗などを通じて、町人文化が盛りを迎えた江戸の生活がいきいきと描かれている。これは余韻を残す終わり方かもしれないが、杉浦さんにはこの三人のその後を、もっともっと書いてほしかったというのが正直な感想だ。いい作品に出会えてよかった。
2016/06/13
優希
ちくま文庫で再読です。時間はゆったり流れているのに、奔放な絵師たちが闊歩する江戸の町が想像できます。明るく、幻想的な世界が展開されており、お栄を始め、江戸の人たちのたくましさをも感じました。庶民の人間の匂い、江戸の空気感がまさにそのまま感じられる作品。続きがあるような終わり方が印象的です。
2018/05/07
トリオネア
上未読だけど面白かった。葛飾北斎、北斎の娘、弟子が主人公。妖怪(?)が出てきたりする少しファンタジーな漫画。
2019/07/25
tama
図書館本 上下まとめ読み p111の顔から魂が外れるところが見事!!上下巻通じて北斎親父の表情の豊かさ(大袈裟とかくすぐりデフォルメじゃなく)がこの作品の肝かな?と。娘への愛情も一杯出てくるし。p180のいたずら爺な顔やp342の見上げる顔は凄く好い。風景画としてそのままいい絵なのはp256稲妻。お話も稲妻が面白かった。カワウソが化けたと思しい田舎者のあんちゃんも素朴で元気でとてもよい。続いての野分の寂静感と素敵な一対。
2018/07/29
ムッネニーク
107冊目『百日紅(下)』(杉浦日向子 著、1996年12月、筑摩書房) 浮世絵師たちの群像絵巻、ここに完結。86年3月〜88年1月に発表された15作を収録。 夢と現の狭間を揺蕩うような幻想的な短編が並ぶ。同時に人々の生活感も見事に活写されており、本当に江戸の町を覗き見ているような気持ちになる。 クライマックスのない漫画なので、描こうと思えばいくらでも描けたはず。もっと続きを読んでみたかった。 〈いっちゃったよ〉
2024/08/09
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