泉鏡花集成〈11〉風流線・続風流線
泉鏡花集成〈11〉風流線・続風流線 / 感想・レビュー
nightowl
触れてきた文化で思い起こすものが異なりそう。個人的には必殺仕事人を思い出す(そう気付くとすらすらと読めた)。しかし泉鏡花なので、成敗しめでたしめでたしにならない。死の淵から俯瞰するほんのりと灰色にくすんだ世界。「夜叉ヶ池」のような悪漢キャラはいるけれども、心地良い作品世界に浸り続けていたくなる。この頃から手配師稼業がのさばっていたとは…
2020/09/03
クリイロエビチャ
新聞の連載小説だったそうだ。すらすら読めるので長編でも苦にならない。いつもの宙を漂うような取りとめのない文体は影をひそめ、わかりやすい歯切れのよい文章が続く。とはいえ、美しいものはより美しく下衆いものはより下衆らしい、登場人物の造形は鏡花ならでは。また、珍しく地元石川県を悪く書いているのが印象的だった。「見栄っ張りで家柄と格式で序列を決めたがる」らしいです、石川県の人たちは。立ちまわりや決闘シーンなどもあるので、冒険活劇が好きな人にお薦めしたい。しかし、結末はスッキリ爽快というわけではないのでご注意を。
2012/07/25
クリイロエビチャ
冠弥左衛門的な雰囲気をもっとずっと洗練させた感じ。読みやすいものの、慣れない人は序・破・急の流れに戸惑うかも。
2009/12/02
フジマキ
長編活劇
2009/07/30
クリイロエビチャ
こないだ水滸伝を読んだから、より面白かった。捨吉と李逵じゃ全然キャラクター違うけどさ。李逵は嫌いだけど捨吉は男前だ。新聞連載小説ということもあって、小刻みに山場があり長編なのに飽きさせない。鏡花最初の新聞小説「冠弥左衛門」も好きだけれど、小説としての面白さではやはりこっちに軍配が上がるかな。鏡花のテンプレ人物たちが勢ぞろい。美しい女性に悩める青年にすてっぱちな輩、俗物、不気味な老婆、虐げられる嫁に弁舌さわやかな好漢。巨山だけがちょっと違うかな。凄味のある悪役で、これはこれで魅力的だと思う。最後なんて特に。
2016/02/24
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