KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

泉鏡花集成 13 (ちくま文庫 い 34-13)

泉鏡花集成 13 (ちくま文庫 い 34-13)

泉鏡花集成 13 (ちくま文庫 い 34-13)

作家
泉鏡花
種村季弘
出版社
筑摩書房
発売日
1997-03-01
ISBN
9784480032430
amazonで購入する

泉鏡花集成 13 (ちくま文庫 い 34-13) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

イタロー

夜鷹の紙人形に秘められた翡翠の玉を巡る因果譚。一癖二癖ある人々の群像劇。やはり、鏡花一流の芸にくらくらする。読んでいるだけでふわーッと気分がよくなるような、言葉がざわめき躍るような体験。たとえば『風流線』と比べての今作の特徴は、場面場面での文の調子の豊かな変化。前半の宴会シーンなどコミカルで面白い。そして山場の怪異は彼岸をみせてさすが。意地と義理と混沌と美が饗宴する筋書きは、アッパレ見事。背景も、人物も、舞台も、沸き立つ時間も空間もなべて妖艶にして凄絶、こんな文句が、けして大袈裟にならない色気があります。

2024/11/10

クリイロエビチャ

長編。時々内容が読み取れないところもあるけど、気にしないで読んでいく。鏡花の読み方はいつもそんな感じだ。音楽の調べのようなので、一語一語しっかり読んでいくと流れに乗れなくなってしまう。いつも同じ感想になってしまうけど、この話も歌舞伎に合うなぁ。二転三転する玉の行方も、墓場や破れ寺が舞台になることも、結末の畳み掛けっぷりも、芝居にぴったりだ。峰は海神別荘の皇子を人間にしたようなイイ男でうっとりする。婦系図の酒井先生、海の皇子に次いで好きだわ。

2016/05/02

ほたぴょん

はじめ、洲崎新道の引手茶屋を兼ねたような小さな鮨屋近辺に集っていた2人の男と3人のヒロインの運命が、浮き沈みを伴い、洲崎から高輪へゆらゆらと流され、時に過去の洪水の記憶と現在とが交錯しながら、あたかもその洪水の流れに弄ばれる落ち葉のように流れ流されていく。「夜叉ケ池」や「天守物語」などと同時期の脂がのっていた頃の作品で、2作のように妖怪は出ない(それっぽいところはある)が、長い話を描ききっていて読ませてくれる。

2010/08/02

ナナシ

翡翠の玉を巡って五人の男女が様々に関わり合う。鏡花らしい怪異は出てこないけれど、女性の描写は鏡花らしく美しいし、こういう話も面白い。

2013/01/24

クリイロエビチャ

タイプの違ういい女が3人。どの女も鏡花的だから美しく、ハイファッションなカタログを見ているよう。長編なのだけど、ストーリーを語れと言われると、難しい。淫靡で水っぽい江戸の風情と乾いた近代の空気が入り混じる。物語というより世界というのかなぁ、空間と時間を描いた小説って感じ。歌舞伎的な記号に満ちているので、芝居で観てみたい。でも、峰を演じられる役者さんって思い浮かばない。傲慢さも愛おしく思えるような品の良さ。いないなぁ、残念だ。

2012/08/15

感想・レビューをもっと見る