三島由紀夫のフランス文学講座 (ちくま文庫 み 13-10)
三島由紀夫のフランス文学講座 (ちくま文庫 み 13-10) / 感想・レビュー
mizuki
三島由紀夫こそは戦後最高の批評家である、と言う編者が三島のフランス文学に関する論文を集めた著書です。ラティゲ、バルザック、スタンダールらの作品から三島はどんな影響を受けたのかに興味を持ち手にとりました。私がまだフランス文学を嗜む程度なため、やや難しい内容でしたが、三島の芸術に対する暑い思いを受け取ることができ満足な読書となりました。まずはキリスト教について知識を得てから、三島由紀夫が少年時代の聖書と言っているラディゲのドルジェル伯の舞踏会を読んでみたいと思います。
2016/08/16
双海(ふたみ)
フランス文学は、「小説の方法」の宝庫。小説の方法論を常に意識し、模索していた三島由紀夫は、フランス文学から多くのインスピレーションを受けてきたといいます。本書は三島のフランス文学に関する著述を網羅している1冊になっています。ラディゲ、コンスタン、ラシーヌ、ユゴー、サド、ワイルド、ランボー、ボードレール、バルザック、スタンダール、ジッド、カミュ、バタイユ、ジャン・ジュネなど、目次をみるだけで酔いそうです。
2014/04/10
amanon
一度読んだだけでは、未消化感が強かったため再読。再読することによって、新たな発見が少なからずあったが、それでも一抹のモヤモヤ感が拭いきれないのも事実。まず何より、フランス語の素養がない人間にフランス文学を語る資格があるのか?という疑問が(笑)。まあ、原語を理解できない立場から好き勝手なことを語るという点に本書の魅力があるということもできるか。後、取り上げられているのが、いわゆる耽美系と言われる作家に偏りがちなのは、さもありなんという感じか。詳しい注釈がないので、仏文学初学者には不向きだとは言っておく。
2023/05/12
きりぱい
三島が書き残した物の中から、特にフランス文学に関する文章を集めたもの。『ドルジェル伯の舞踏会』(それも堀口大学訳に限る)から受けた影響は重大で、若い才能への惜しみない賛美と、嫉妬も隠さないラディゲへの傾倒ぶりがうかがえる。耽美寄りと思いきやその読書遍歴は想像以上に広く深く、『アドルフ』を「読後に襲われるいいしれぬ陰惨な感銘」と言っているところや、ラシーヌ『フェードル』の難点の指摘、美女の描写をして、スタンダールのそれと比べ引き合いに出される、バルザックの思い切りのわるい描写などが面白かった。
2011/10/08
amanon
タイトルから講義録を連想してしまうが、鹿島茂氏による三島の仏文関連書アンソロジー。なので、これをフランス文学入門書と勘違いしない方がいいかも(笑)。編者後書きで、鹿島氏はフランス文学評者としての三島を手放しで大絶賛しているが、ここで取り上げられている作品の半分以上読んでいる僕にとっても、内容がやや固すぎという印象で、思ったほど楽しめなかったというのが正直なところ。確かに、「ああこんな感想もあるんだな」と思った箇所もあるが、三島という巨人が言ったことだからという思いが先にたつ。未消化感強し。再読が必要。
2023/05/06
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