恐怖の都・ロンドン (ちくま文庫 し 12-1)
恐怖の都・ロンドン (ちくま文庫 し 12-1) / 感想・レビュー
やっさん
イギリスのホラースポットのガイド本が元とか。最初は15,6世紀の王族とか諸侯が幽閉されて殺された、ここではその幽霊が目撃されている、なんて感じだが後年になってくるとジャック・ザ・リッパーをはじめとする猟奇もの、奸婦ときて連続殺人犯に至る。死刑がなくなって、最後の方の犯人はまだ生きているんだよな…。処刑が庶民のエンタメだったのは知ってたけど、斬首は高貴な処刑で絞首刑は悪質な犯罪に対するものであったこと、絞首後解剖用に医者に回ったこと、死の定義が曖昧で、解剖中にしばしば蘇生したこと(!)など興味深く読んだ。
2015/05/30
うえ
ジャック・ザ・リッパーについて、バーナード・ショーが発言していたという。「彼はこの事件当時、新進の社会学者として名を上げていたが、『スター』紙にこんな手紙を寄せている。「我々伝統的な社会民主主義者が教育やアジテーションや組織作りに徒労な時間を費やしている間に、ある無党派の天才が、四人の女を殺してはらわたを引き摺り出すという単純だがきわめて効果的な方法によって、あっさり世論を変えてしまった。我々には耳も貸してくれなかったマスコミが今や、彼一人のお陰で、馬鹿気た共産主義にまで傾きつつあるではないか」」
2021/02/19
爺
『罪と監獄のロンドン』『鍵穴から覗いたロンドン』と合わせて三部作。その最初の1冊。もともとがホラースポット探訪用パンフレットだったということで、切り裂きジャックやスウィーニー・トッドなどのメジャー所を中心に紹介している。その分、上記の2作品に比べると社会全体を捉えるという点では弱い。ペストが大流行した17世紀の雰囲気などは、大変面白く読めた。個人的に好きな順としては、『罪と監獄~』『鍵穴~』、そして本作という順。
2014/05/27
monado
ロンドンのダークスポット紹介というおもむきなのだが、後半は殺人鬼の話ばかりになる。
2020/07/07
かじ
ロンドンは、幽霊が出ると言われるような建物がむしろ珍重される傾向もあるらしい。この本に出てくる怪奇事件というか猟奇事件というか、その異常さ加減を見ると、それも納得できてしまう。さすが「恐怖の都」と銘打つだけあって、次から次へと出てくる出てくる(笑)。いや笑い事じゃないんだけど。最後に出てきた「イラストレイテッド・ポリスニュース」がまたすごい。これだけ錚々たる(?)事件を並べられると、怪奇現場めぐりツアーにも行ってみたくなろうというもの。確かに、普通の観光だけではわからないかの地の歴史を感じられるかも。
2014/06/07
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