大正幻影 (ちくま文庫 か 3-7)
大正幻影 (ちくま文庫 か 3-7) / 感想・レビュー
ヒロミ
10年ぶりに再読。やっぱりトリップした。佐藤春夫、永井荷風、谷崎、芥川…彼らが愛した隅田川と大正の東京をめぐるエッセイ。私の座右の書。思えば「高等遊民」という言葉を知ったのも本書でだった。病める薔薇、洋館と探偵、幻影の町…現実とは一枚膜を隔てたようなフレーズが大正の街中の心地良い喧噪へと読む者を誘う。都市社会学をも感じる。大好きな本なためかうまく感想が書けない。個人的には初夏に裸足で畳の上に寝転んで読むか路面電車に揺られて読むのがお勧めだ。一日の終わりに街の音に耳を傾けながら秋の夜長のお供としてもどうぞ。
2015/09/03
浅香山三郎
海野弘、松本哉の両氏の著書から、積読してゐた本書へ。昭和の戦前期までの文学を巡る道案内をしてくれる本を続けて読む。作家たちの作品も読みたいと思ひながらも、本書のやうに東京といふ町のなかに作品を配置して、時代の精神のやうなものを読み解く手捌きが見事な、かういふ本のほうを愉しんで読んでしまふ。自己分裂といふテーマを、芥川龍之介・谷崎潤一郎・佐藤春夫・永井荷風といつた大正期の作家たちがどう作品化してゐるか、佐藤春夫と建築をテーマにした作品群の関係など、たいへん面白い。何よりも、やはり大正期の東京の都市化↓
2023/03/11
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