役人の生理学 (ちくま文庫 は 19-1)
役人の生理学 (ちくま文庫 は 19-1) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
税金という名の公金を扱う「全体の奉仕者」(※)なのだが、ここでの定義は「俸給を必要とし、自分の職場を離れる自由を持たず、書類作り以外なんの能力もない人間」(10、13ページ)。大酒飲んで、たばこを蒸かす能力はあるよ(笑)。挿絵が皮肉な官僚像を描写していてより冷笑的。すべての人びとのに仕えるということはだれにも仕えないというに等しい(29ページ)。※ってなんなのかね。定年まであと何年、とかいって指折り数えている(145ページ)。19世紀フランスではあるが。この人たちの順風満帆な人生は、カネはあるが味気ない。
2013/02/15
あくび虫
正直、序盤はつまらなかったのですが、なんとなく読み進めていくうちに最後まで行きついてしまいました。そもそも「役人」というものを主題にした本があり、しかも並み居る文豪たちが関心を寄せているらしい、と感じられるだけで面白い。滑稽な風刺物ではあるのですが、なんとも痛烈な調子ですし、国民国家が役人を生んだ、というような指摘には蒙を開かれるようです。――収録されたどの作品も、役人を皮肉り、憐れんでいるのですが、底知れないフランスへの自負のようなものも感じます。なかなか興味深い一冊でした。
2018/04/28
かなり
役人の生理学ももちろんですが、巻末の役人文学アンソロジーも面白い。乱暴に言っちゃうと一時期はやった「~の取扱説明書」なノリ。バルザックの「役人」に名前だけ出てるニュシンゲンさんはゴリオのかしら。人間喜劇もいろいろ読んでみたい
2009/12/11
オペラ座のカニ人
1850年代のフランス遠距離通勤とラッシュの絵が掲載されていた。そんな時代から通勤ダッシュはあったのかと驚いた。という事はフランス革命後落ち着いたフランスでは大変幸せな時代であったのではないかとは想像される。フランスについてもっと知りたくなった。
2023/04/09
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