山田風太郎明治小説全集 (8) (ちくま文庫 や 22-8)
山田風太郎明治小説全集 (8) (ちくま文庫 や 22-8) / 感想・レビュー
syaori
山田権兵衛が、大山巌夫人捨松と舞踏会へ出席して下さいと明治政界の大立者の奥様方を訪問し、その家庭を垣間見るオムニバスストーリー。井上馨や伊藤博文をはじめとするお歴々は傑物ぞろいで一癖も二癖もある人たちばかり、奥様方の悩みも尽きません。芸者や遊女上がりの方がほとんどなのですが、情が深く、しなやかな彼女たちの生き方は「ただの貴婦人じゃなか、実にえらか奥さん方でごわした!」という権兵衛の感嘆がぴったり。まさに「ああ本当におみごとです、奥さま方」。ザ・日本男児の権兵衛とハイカラな鹿鳴館の取り合わせの妙も素敵です。
2016/05/31
ヨーイチ
山風明治物で一番のお気に入り。確か劇化されている。商業演劇のチラシを見て「三島の鹿鳴館のパクリかい」位の認識で黙殺。山風にハマる前。鹿鳴館時代の大政治家が夫人を通して描かれる。これだけの大物揃いだと自伝、日記など資料が膨大でその間隙をぬって作者は各人の人物像を浮かび上がらせる。三島の鹿鳴館のモデルとされる井上馨編。最後に行幸が決まり欣喜雀躍するが、この行幸が演劇史で言うところの天覧歌舞伎であったりする。伊藤博文編では川上貞奴が大活躍。有名な貞奴水揚げを行幸の後に持ってくるなんぞ、不謹慎と言うか伊藤らしいと
2015/12/05
ken_sakura
とても面白かった♪( ´▽`)八犬傳、以前に読んだ甲賀忍法帖と同じくらいとても面白かった。すごいな山田風太郎( ̄O ̄;)口が奢ってしまいそうで心配になる。連作短編集。鹿鳴館の舞踏会に元勲夫人達の出席を促すようにと、海軍大臣の西郷従道の命令を受けた山本権兵衛が大山巌夫人の大山捨松と元勲達の屋敷を訪ねる物語。伊藤博文のダメっぷりが可笑しいε-(´∀`; )
2016/01/19
ヨーイチ
十五代目市村羽左衛門の出生にまつわる話がいい。山田風太郎は芝居も分かって居る.他には会津に対するスタンスは大切な点であろう。
きょちょ
この作品は初読。井上馨、伊藤博文、山県有朋など、明治の政府高官の夫人を主人公にした着眼点は面白い。男どもは、女癖が悪かったり酒乱だったり出世欲の塊だったり、どうしてこんな男たちの妻になるのか、と思うほど夫人たちは実に魅力的である。妻になる前の生い立ちや経歴、妻になってからの覚悟など、皆実に個性的で好感を持てる。さらりとした文章の中に活き活きとした人間を描けるのが風太郎の素晴らしいところ。男の中では、喋り方が実にユーモラスな大隈重信が良かった。★★★★★
2015/06/02
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