光る風 下 (ちくま文庫 や 23-2)
光る風 下 (ちくま文庫 や 23-2) / 感想・レビュー
傘緑
「おれたちに真実の平等がもたらされるためにそれが必要だというなら、きみたちの社会でいう”平等”というものがほろびてもいいとさえ思っているんだ」奇病により隔離され虐げられた村の住人である革命家の言葉である。私は彼の独白に『もののけ姫』の中の癩者たちの一場面を思い起こした。この漫画はただの反体制的というより、もっと根深い人間の業のようなもの、今もなお問い続けられている、を抉り出すように描き出している。ひとつ言えるのは、民主主義はその担い手が現実を見ず、盲目と無知のファシズムに逃げるような惰弱であってはならない
2016/10/30
Mark.jr
原作版デビルマンと並んで、子供の頃に読んだらトラウマになりそうな漫画ですね。主人公たち権力の前でなすすべもなく敗北していく様子が、実に容赦無く描かれています。日本がこんな風になるわけないという批判もあるかもしれませんが、、こんな風にならないと思ってたらこうなる、そしてこうなってししまったら全てもう遅いというのが、この作品の訴えている警告だと思います。しかし、もしかしたら今だと主人公の自業自得じゃないかという感想が大半なのかしれませんね...。
2021/02/18
たてまつ
すべての主張を持つ者は、主張のために何かを見失っている。藻池村を、原子力と置き換えてもよいだろうが、そこにいる人々が何かを握っていると思った主人公が、藻池村での事件に深入りしていくことで、彼の人生は大きく変わっていったが、藻池村の人々もまた主張に埋もれ、利害の中で誤った方向に進んでいた。軍部も、政府も、反政治勢力も、どれも欠陥を持つ組織であり、救いをその内部に持たない。主人公でさえ、ただ逃亡している存在であり、ようやく掴んだ雪との幸せも政治権力に脅かされ、最後には災害によって奪われてしまった。きこりかなー
2013/05/18
新井徹
物語としては破綻しているが、それを上回る作者の意志を感じる。拙さよりも気迫が勝っている。枝葉だけど、ショーシャンクを超える収容所からの脱出劇が圧巻!
2011/09/04
純粋印象批評宣言
傑作の類であると思った。中途半端な形で終わったのは残念に思う
2011/04/16
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