映画を夢みて (ちくま文庫 こ 4-16)
映画を夢みて (ちくま文庫 こ 4-16) / 感想・レビュー
踊る猫
小林信彦は、例えば蓮實重彦や淀川長治のようなシネフィルではないのかもしれないが、見巧者であることは間違いない。そして、フェアネスを重んじて空気を読まない反骨精神がある(だから、今でも左翼的なポジションから発言している?)。この本でも名高い批評家に盾突き、プレストン・スタージェスやレオ・マッケリーを称揚してきちんと評価しようと徹している。喧嘩のための喧嘩ではなく、売られたからには買うといった姿勢。今の小林信彦からは考えられない……とも思う反面、この姿勢こそが今でも生きて発言させる秘訣なのかもしれないと思える
2020/10/07
fritzng4
寺山修司に喧嘩を売った若き中原弓彦時代の少し青臭い文章から始まり脂の乗った80年代までの小林信彦の全方位的な映画評が収められている。注目すべきは日本でほぼ誰も評価していなかった頃のマルクス兄弟やプレストン・スタージェス称揚、監督としてのワイルダーへの不満(ルビッチに比して)、『仁義なき戦い』に関しての笠原和夫インタビュー、鈴木清順讃など充実の内容。ひとりの論者がここまで徹底して娯楽としての映画を多岐に渡り取り上げた例はあまりないのでは。2010年代のいまこそ読むべき映画本。
2017/04/18
unterwelt
どの映画も実は観た事がないのだが、どれも面白く読むことができた。マルクス兄弟やビリー・ワイルダー、MGMミュージカルを観たくなります。若い時の花田清輝や寺山修司批判は今の著者からは考えられない喧嘩腰の文章で驚く。
2017/09/07
taga
こういう文章を書ける人ってすごいと思う。
2015/06/17
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