終わりなき日常を生きろ (ちくま文庫 み 18-1)
終わりなき日常を生きろ (ちくま文庫 み 18-1) / 感想・レビュー
かみぶくろ
「終わりなき日常」の概念だけでご飯100杯はいけそう。発表から20年経ってもこの社会の症状は一向に変わらず、処方箋の有効期限は切れてしまった。さて、これからどうなる?どうもならない。どうもならないから日常だ。
2016/04/24
harass
実は初宮台。ついに手を出す。オウム事件の分析とその対処方法について語る。いろいろ当たっているのではないかと感じる。特に、世代についての考察に唸る。時代の資料としての価値もある。「ナイトヘッド」など懐かしいのだが、同時代を知っているからこそか、こそばゆい気がする。知らない人はどう思うのだろうか。文体やノリに勢いがあり講演が巧みな人なのだろうなと予想される。ただ、自分がこの学者を敬遠していた理由がちょっとわかった。名著であるのは否定しないのだが。
2017/05/21
サイバーパンツ
戦うべき相手も、輝かしい未来も、大きな破滅も存在せず、「きっと何者にもなれない」不安だけが押し寄せる「終わりなき日常」はキツイ。だから、若者たちは麻原や自己啓発セミナーなどの超越的存在に依存することで「終わりなき日常」から逃れようとした。が、これはハルマゲドン後の素晴らしき未来に期待することになり、その未来を獲得するためにはサリンだって簡単に撒くようになってしまう。なら、どう生きればいいのか。
2016/06/27
またの名
モテない奴は永久にモテず冴えない奴は永久に冴えないという身も蓋もない真理に、適応できた下着販売JKとできずに終わらない日常を転覆し理想の国を実現しようとしたピュアな信者を、対置して議論。際限のない自由と無目的の快楽主義ディストピアの勝利を本書は確信していたものの、メンヘラはもちろん自由化していく恋愛市場が要求する高いコミュ力は今や第一級の懸案に。宗教に対抗して持ち出された性は性で混迷し、彼岸の神秘に代えて地上にぼくがあいするさいきょうの祖国を見出した純真が世界中で愛国を叫ぶ。その経緯を理解するために必読。
2018/07/13
テツ
オウム真理教が起こした数々の事件から四半世紀以上が過ぎて、当時のことを知らないまま後継団体に入信する若者も存在するらしい。当時の社会や世相、やらかす前のオウムについての好意的な目線や面白半分に扱っていたバラエティ番組などを考察していく。いついかなる時代でも存在意義を求めて彷徨う若者(とは限らないか)なんてものはいるわけだけれど、そのハシカのような空虚さに何が入り込むか、誰につけ込まれるかという話だよなきっと。救いや癒しなんて外部には存在しない。他者にそれを求めることの危うさを共有したいよな。
2023/03/31
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