Yasuji東京 (ちくま文庫 す 2-11)
Yasuji東京 (ちくま文庫 す 2-11) / 感想・レビュー
kinkin
井上安治という人を初めて知る。この本だけで彼の全体が分かることはないが雰囲気の一部は伝わってくる。杉浦日向子さんの絵はカット割りのなかにシーンとした時間が流れている気がする。東京という町はどこを描いても絵になる所だったのだなー。井上安治のこと、もうすこし知りたくなった。
2018/02/04
優希
美術方面に疎いので、この漫画で初めて井上安治を知りました。風景画家として見つめた東京は一体どのようなものであったのかを想像してしまいます。夭折だったが故に眺めることのできた風景があったことでしょう。静謐な世界が印象的です。
2018/04/18
ムッネニーク
111冊目『YASUJI東京』(杉浦日向子 著、2000年3月、筑摩書房) 東京の風景画を描いた明治時代の画家、井上安治。彼の絵に魅せられた女子大生が現代と明治の東京を行き来する、静かで奇妙な幻想漫画。表題作の他、短編6本を収録。 収録作品はどれも低血圧な印象で、これまで読んできた杉浦作品とは異なる読後感。全体に「ガロ」的な雰囲気が漂っており、リリシズムという言葉がピッタリと当てはまる。 奇しい気配を纏う、地味だが上品な短編集である。 〈東京は 月の入るべき 山もなし ビルより出でて ビルにこそ入れ〉
2024/08/16
fwhd8325
NHKの日曜美術館で、井上安治さんの特集を見て、触発されました。番組の内容は、この著書に集約されています。杉浦さん、わかりやすく描かれています。まだ、この名残を感じ取ることのできる景色がいくつかあるとのこと。町は生き物だからと言ってしまえば、それまでのことだけど、東京で生まれた私にとって、この町は原風景です。安治の作品の風景は、私が、生まれた頃には、すでに遠い景色もありますが、原風景を何ものにも邪魔をされたくないと思うこともあります。画工井上安治は、そうした心を刺激してくれたようです。
2018/05/27
かっぱ
井上安治という風景画家のことは知らなかったです。東京を描いて26歳という若さで没する。安治の描いた東京には感傷などはなく、ぽっかりとそのままの姿がある。安治が見た東京とはどんな東京だったのだろう。時代は違えども安治の目を通して見た東京を現代人の私が見る。アスファルトの下にはいまも原野が眠っている。安治の絵を通して、その息づかいを感じることができるのではないか。「YASUJI東京」ほか、6つの作品からなる短編漫画集。解説は南伸坊。
2017/01/12
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