猟奇文学館 3 (ちくま文庫 り 5-3)
猟奇文学館 3 (ちくま文庫 り 5-3) / 感想・レビュー
安南
年明けてから「食」についての本が続いている。こういうアンソロジーは難しい。なにしろオチは決まっているのだから楽しみが半減するのも仕方ない。飢餓からのカニバリズムには極限状態に於ける倫理観とのせめぎ合い、嫌悪、人間性の崩壊など、興味深い要素が多々あるが、趣味嗜好としてのカニバリズムにはあまり興味がない事に気づいた。わたしにとって肉自体が魅力的な食材ではないからかもしれないが。究極の愛の形、又は狂気としてならロマンチシズムを感じない事もない。その点で、宇能鴻一郎「姫君を喰う話」は手に汗握る興奮を味わった。
2014/01/07
Kouro-hou
猟奇なテーマのアンソロジー集3冊目。最後のテーマは人食い(汗)。他の刊に比べてメジャー作家が多め? テーマがテーマなんで、怪談調だろうがロケットランチャー撃ち合ってようが、途中ゴタゴタしたところでアンタ結局食うんでしょう?と思ってしまうのはちょっと不幸か。前後の事情はともかく、食事は楽しく(できれば)皆で賑やかに、という辺りに選者のポリシーを感じます。3冊とも収録されている唯一の作家・宇能鴻一郎先生は日本最古の官能エロ漫画「小柴垣草紙」(カニバルではない)をネタに今回も異彩を放っております。
2014/05/14
アカツキ
カニバリズムを描いた11作品の短編集。喜んで食べる人がいれば、知らずに食べる人、口にせざるをえない人などシチュエーションが様々で楽しい。牧逸馬だけ実話、被害者を売りさばいた肉屋フリッツ・ハールマンの話。特に面白かったのは、山伏の呪いで食人するようになる杉本苑子「夜叉神堂の男」、非道をした親が子供を溺愛していれば呪いが子に向くのも納得なんだけど、そうではないから理不尽みがある。田舎の闇風習を書いた高橋克彦「子をとろ子とろ」はホラーからのホロリ展開。
2022/10/24
blue_elephant
猟奇文学館第3集は、カニバリズムをテーマにした短編集。初めて読む村山槐多氏の「悪魔の舌」にぐっと引き込まれていった。小松左京氏の「秘密」は静かなトーンで語られるおぞましい短編だが、何故か悲しさも伴っている。全3巻に必ず編集されている宇能鴻一郎氏、なかなか面白い。名前だけは知っていた。官能小説家なのか。かえすがえすも、この猟奇文学館シリーズは絶版になっているのが口惜しい。
2021/01/04
すけきよ
一番楽しみにしていた巻なんだけど、考えてみれば人食いって基本的にオチだから、これだけで編まれても、流れは何となく読めちゃって、どうせ食べちゃうんでしょ、という感じ。バラエティは出そうとしてるんだけど、イマイチ広がりがないかなぁ。「姫君を喰う話」はモツが美味そうだった(笑)。宇能鴻一郎は気に入ったんで、短篇集買おうかなぁ。
2009/02/14
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