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ふるさと隅田川 (ちくま文庫 こ 20-1)

ふるさと隅田川 (ちくま文庫 こ 20-1)

ふるさと隅田川 (ちくま文庫 こ 20-1)

作家
幸田文
金井 景子
出版社
筑摩書房
発売日
2001-01-01
ISBN
9784480036148
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ふるさと隅田川 (ちくま文庫 こ 20-1) / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

この作家は自分の感覚を独特の言葉で表現できる作家だった。その瑞々しく、新鮮な言葉を読んでいると心が洗われる心地がする。「どおっと降る。たちまち往来に人がいなくなって、雨と雨の音だけになる。いきなり光って、鳴る。こうなってはおそれおおくて、御通過を待つ間しばしは、縮んでいるよりほかない」(「ゆうだち」より)。夕立を描いた文章だが、本当に個性的で幸田文しか書けないものだと思う。御通過という表現がユーモラスだ。この作家にとって自然は一つの人格を持った存在で、自分に深く結びついていたのだろう。

2017/03/31

ワッピー

隅田川のほとりで暮らした体験が、水というものへの畏敬と親しみをはぐくんできたのでしょう。普段は穏やかに見えても、事あればうねり、荒ぶり、巨石をも転がす水のエネルギーにとりわけ注目しているように思われます。ワッピーも台風のエネルギーにテンションが上がるほうでしたから、二百十日に生まれて嵐に思い入れ深い幸田さんに共感します。水は美しく、恐ろしい。しかし、人はそこから離れて生きることはできない。抑え込んだと思っているのは、人間の驕りですよね。

2017/05/21

あ げ こ

綺麗も汚いも、いいも悪いも、思い出のすべてを受けとめた言葉は優しく、時にキリリと厳しい。いい悪いを超えた先に存在する強いもの、美しいものを認める姿勢。ハッキリと小気味よい物言い。読後はいつも清々しい。幸田文と言う人は、青々と澄んだ川のようである。若い時分には当然、ドロドロと濁ったものも持っていたはずと思う。だが歳月を経て、熟す心とともに、汚れ、濁りは徐々に薄まった。自身の変化を素直に認め、水は青々と色を変える。汚れも濁りも知ったその川は、真に美しい川であるように思う。

2013/09/09

hitsuji023

雰囲気のある文章がいい。同じようなテーマなので、後半少し読み疲れ。

2019/08/30

tsu55

隅田川のほとりに生まれ、二十歳になるまで向島で暮らした幸田文の、隅田川を主とした水辺にまつわる作品を集めたアンソロジー。 水辺に近い農村であった向島の蝸牛庵での生活が、幸田文という人間と作品の特徴を作り上げたということを、この本によって改めて知らされた。

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