横溝正史集 (ちくま文庫 か 35-2 怪奇探偵小説傑作選 2)
横溝正史集 (ちくま文庫 か 35-2 怪奇探偵小説傑作選 2) / 感想・レビュー
かわうそ
血縁・男女関係などドロドロした人間関係がもたらす悲劇を中心に怪奇幻想色がかなり濃厚。膨大な作品群から選ばれているだけあって傑作ぞろいで特に「鬼火」「蔵の中」「孔雀屏風」あたりが面白かった。
2013/12/21
おおた
初横溝正史。映画のイメージが強いが、徐々に方言を強めていったりトリックの手が込んでいたりと、技巧的な印象。怪奇といえども、単純に怖い造形というわけではなく、男女の情念が凝縮されて怪奇に至る。その過程が短篇ながらきっちりしている。
2014/04/17
ゆきゆき
横溝正史による戦前の作品集。諏訪湖の畔を舞台に展開する代表作「鬼火」は、醜い顔を隠すための不気味な仮面、2人の男の歪んだ愛憎などその後の作者の作品に繋がる要素が満載の名作。金田一耕助はまだ登場せず、多くの物語は現実の解決を見ずに幻想の彼方に葬られてしまうものの、深い余韻を残す作品ばかりである。
2013/01/08
冬至楼均
戦前の、本格を書き始める前の作品集。
2024/10/17
しい太
横溝正史の初期作品集。怪奇話やちょっとユーモラスな一篇もあり後期の色んな作品のプロトタイプのようにも思えるが、当人は「こういう感じじゃなくもっとゴリゴリの探偵もの書きたい」と辛めに評価しているのが面白かった。金田一耕助ものを書いていた黄金期に比べると実際ミステリ的には微妙なんだけど、そもそも横溝正史の半生をよく知らなかったから(戦前探偵小説を制限されて困窮し戦後ブレイクした流れとか)資料的な意味でもありがたい一冊。
2021/05/08
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