現代民話考 9 木霊・蛇・木の精霊・戦争と木
現代民話考 9 木霊・蛇・木の精霊・戦争と木 / 感想・レビュー
ワッピー
かつては日本のいたるところに巨木があり、畏怖・信仰の対象であって、人間の都合で木を切るとその応報があるという共通認識があった。その応報は木自身の力なのか、山神や天狗のような木の守護者が怒るのかという捉え方の相違も研究に値すると感じる。また蛇についても、日本全国に大蛇やツチノコの伝承が広くあり、日本人の生活と蛇とは相当縁が深いと感じる。樹も蛇も、人と同じく生命を持ち、故なく命を奪われたり傷つけられたら怒るのは当然であろう。今や自然は共存するものではなく、勝手に破壊し、保護するものという人間の驕りは怖ろしい。
2021/10/11
mahiro
松谷みよ子氏のこのシリーズはテーマ別に全国から集めた聞き語りの話を集めている。昔の事や現代にあった様々な不思議が語られたままの形で方言まじり、時には数行の短い話が脚色もなしに載せられているのがかえって生々しさを感じる。この巻は木と蛇にまつわる話、北海道から沖縄迄網羅されているので読んだ人は「あ、あそこの話か」など思い当たるのがあると思う。好きな作品なのだが数巻しか手許に無く今は入手しにくいのが残念。民話は昔の物で無く人が生活する限り生まれ続ける物だという言葉が納得できる。
2020/10/07
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