山田風太郎忍法帖短篇全集 (8) 武蔵忍法旅 (ちくま文庫)
山田風太郎忍法帖短篇全集 (8) 武蔵忍法旅 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
けやき
本篇は初めてですが作品は全て既読済み。忍法帖短篇集。6篇+ボーナストラック。どれも面白かった。「ガリヴァー忍法島」は海賊キッドが草薙の剣を盗み、それを取り返すために堀部安兵衛が奮闘するというもの。大谷刑部が関ヶ原で三成の西軍についた理由を描く「刑部忍法陣」もお気に入り。他にも山風の奇想が冴える作品集でした。
2024/04/20
ヨーイチ
表題作他五編収録。発表は69から70年頃。全部初読で味わいは色々だが全て平均点以上で大変お得な一冊となった。「ガリバー忍法島」が山風らしさ全開で口をアングリしたり、弛緩した口元から涎を垂らしグフグフ言いながら一気に終了、射精はしなかったけれど。宮本武蔵と大谷刑部も大久保彦左衛門も近衛文麿も淀君も堀部安兵衛も山風マジックで大活躍。いやあ楽しい、読んで損なし!
2017/12/20
星落秋風五丈原
1914年6月28日、ボスニアのサラエボで、オーストリア皇太子がセルビアの青年に狙撃された。これが第一次世界大戦の発端となったのは、世界史の教科書を一度でも読んだ者なら誰でも知っている。日中全面戦争の始まりである盧溝橋事件もまた、昭和12年(1937年)7月7日の一発の銃声から始まる。この発砲は、中国、日本、いずれから始まったのか、未だに謎とされているが、実は発砲騒ぎはこれ以前にも何度か起きていた。たまたまこの日、大事となったのは、日本兵1名の行方不明報告が、これと結びつけられたせいだった。
2004/11/28
辺野錠
物凄く皮肉な話なのは山田風太郎ならではだなあと思った。『彦左衛門忍法盥』の皮肉な結末は呆気にとられた。『ガリヴァー忍法島』の奇想天外っぷりも強烈。海賊のメンバーにそれぞれ元ネタあるのかよ! そのクロスオーバーっぷりはある意味キム・ニューマンの『ドラキュラ紀元』とかアメコミの『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』に通じるものがあると思う。
2013/12/10
unknown
天叢雲剣を巡り、剣客&甲賀くの一とキャプテン・キッド一味が対峙する『ガリヴァー忍法島』が超エンターテインメントなクロスオーヴァー作。「ガリヴァー旅行記」の主人公(というかスフィフト)も出てくる上、キッド一味に黒髯ティーチ、ハウエル・デーヴィス、「宝島」のジョン・シルバーまでおり、夢の共演。申し訳程度に暗号も登場し、エドガー・アラン・ポー「黄金虫」へのリスペクトも。ヒッピー、ゲバ棒、ノンポリを江戸時代的に解釈(飛屁組、下馬坊組、呑堀組)した『彦左衛門忍法盥』は、奇想天外忍法に加えて皮肉も効いた一編。
2010/12/16
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