山田風太郎忍法帖短篇全集 12 (ちくま文庫 や 22-27)
山田風太郎忍法帖短篇全集 12 (ちくま文庫 や 22-27) / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
かつて忍者と言えば奇妙奇天烈な忍法を操り、人知を超えた存在として畏怖された。たとえその人生が儚く表立って尊敬されなくとも彼等はいっとき輝いた。なのに「女郎屋戦争」(「吉原女郎屋戦争」を改題)ではどうだ。 吉原に対抗して侍専用の赤坂遊廓をつくり、一儲けを企む田沼意次の息子山城守意知の下っ端として働く服部億蔵の仕事は、何と遊女町の元締め。忍びの技はどこで使うのか?といえば、身をやつして吉原に入り込んで公的遊郭経営のために色町の仕組みを探ってた。だから、同士討ちなんてしなければ良かったんだよ(「忍びの卍」)。
2003/10/20
浅木原
わはははは。「頭がフットーしそうだよおっっ」を70年代にやってる山風の天才ぶりが炸裂する表題作「剣鬼喇嘛仏」のぶっ飛び具合と、縦横無尽の乱歩パロディ「伊賀の散歩者」に大笑い。奇想ぶりでは「伊賀の聴恋器」の頭の悪さが最高で、なんで忍法帖のネタも尽きてきたはずの末期にこんな果てしなくしょーもないことを思いつくのか。いや前の巻同様末期だからこんなしょーもないことをやれるのか。というわけで忍法帖短篇は末期のばかばかしさが一番楽しいという結論。表題作はせがわまさきがコミカライズしてるそうだから今度読もう。
2016/08/01
タツ フカガワ
「よくもまあ、これだけの荒唐無稽な~」と山風先生自身が言う短編9作は全部面白い。田沼意知が吉原に対抗して赤坂に幕府直営の遊郭を作る「忍法女郎屋戦争」。男女の相性を測る「伊賀の聴恋器」の破天荒な展開。物語の端々に江戸川乱歩の影が差す「伊賀の散歩者」。剣豪ものではあるけれど、ほとんどユーモア小説として楽しんだ表題作も面白かった。
2018/04/20
EnJoeToh
表題作がものすごい。
2010/10/23
チェケ
これまでの大量の忍法帖作品を全部無に帰すような虚しい終わりの「開化の忍者」は素晴らしい。
2019/02/03
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