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隣のアボリジニ: 小さな町に暮らす先住民 (ちくまプリマーブックス 137)

隣のアボリジニ: 小さな町に暮らす先住民 (ちくまプリマーブックス 137)

隣のアボリジニ: 小さな町に暮らす先住民 (ちくまプリマーブックス 137)

作家
上橋菜穂子
出版社
筑摩書房
発売日
2000-05-01
ISBN
9784480042378
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隣のアボリジニ: 小さな町に暮らす先住民 (ちくまプリマーブックス 137) / 感想・レビュー

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はる

図書館本。ひとりの人間の暮らしは、その人だけのもの。同じ時代に同じ国に暮らしていても、全く違う人生をおくる。そのひとだけの物語りを聴き、そのひとだけの物語りを記録する。こんな調査は、とても魅力的だが、とてもしんどそうだ。アボリジニの歴史も初めて知る事が多かった。文化が違うこと」を知り「違う文化や伝統を理解して尊重すること」は、人間には難しいのか。あっさりと弱者の文化(言葉でさえも)が揺らいで消えそうになってしまうことが恐ろしい。もちろん生き続ける強さもあるのだけれど…。

2015/03/02

galoisbaobab

「守り人」シリーズ書いてる上橋菜穂子の学者としてのアウトプットを素人にもわかりやすく書いてくれてる文化人類学本です。文化人類学にも”観測問題”が存在するし還元行為の中で捨てられてしまう事実があるし常に変化していく生活スタイル(文化)を研究対象にしている難しさをちゃんと悩みながらもしっかり受け止めている著者の生真面目さに脱帽です。喪失したアイデンティティを復活させるための仮想的なアボリジニの実態という悩ましい問題も避けない勇敢さです。宮本常一の「忘れられた日本人」的手法も使ってますね。

2017/05/29

tkkr

文化人類学者としての上橋さんの著書です。上橋さんは、アボリジニ紹介の前に、読者に対して、この本に記してあることがアボリジニのステレオタイプなイメージとして過度に一般化されて受け取られることがないようにと注意をうながしています。やや冗長であると思われるほど繰り返し。他所の文化に対して、紹介者としての責任を自覚しているとても誠実な方とお見受けしました。表紙の点描のような図案のような ”Hony Ant Dreaming”も見飽きない。良い読書体験でした。

2017/04/30

ふくみみ

上橋菜穂子先生が書かれた文化人類学の本ということで、アボリジニの人たちの現代とアボリジニ特有の呪術や異世界が地続きになった語り口がいきいきと描かれていて、物語と現実が混ざりあったかのような不思議な読後感に目眩のような感覚を覚えた。この感覚はガルシア・マルケスの百年の孤独を読んだときのようだ。もちろん脚色があるということではなくて、偏りのない視点でアボリジニの人たちの置かれた立場を考察しておられて、そこから見える問題は日本にも共通するものだと感じた。

2014/04/18

とろまつ

1990年から10年間、著者が西オーストラリアで暮らすアボリジニとの交流から考察した記録。上橋さんの物語の根っこにある文化人類学者という顔を見たくて読んでみた。そのまんまだった。アボリジニと聞くと、やっぱり「伝統文化を受け継ぐ自然と共に生きる人たち」というカテゴリで見てしまうのだが、この本にはそういう人たちはほぼ出てこない。伝統的な暮らしをする事で差別され、苦しい生活を強いられてきたが為に、逆に自分たちのルーツが消えていく選択を迫られた。何だか理不尽でやり切れない。長年の交流あればこその貴重な話でした。

2021/10/26

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