実践カルチュラル・スタディーズ (ちくま新書 345)
実践カルチュラル・スタディーズ (ちくま新書 345) / 感想・レビュー
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イギリス発祥の学問体系「カルチュラル・スタディーズ」を通じて文化(主にサブカル)の中に横たわる政治性に焦点をあてていくという感じの本。「実践的主体」という側面を色濃く受け継いだポストマルクス主義という印象が強かった。(ただし、「主体」という積極的な単位を否定し、「行為体」とかいう無意識的な単位を用いていた)第三章における相対主義を例とする「必然的非照応」とグロスバーグが唱えた「変動的状況主義」の違いがよくわからなかった。ライムスター佐々木のジャパニーズヒップホップの状況に対する言葉は興味深かった。
2013/05/12
ミツ
前作の『入門』がカルチュラル・スタディーズの歴史や理論、基本概念などを説明する概説であったとすれば、本作はより今日的で実践的な事例に即して考える各論である。 新宿ダンボール・アート、都市を歩き再地図化する運動、ライムスターなど日本のヒップホップ、X JAPANの天皇即位祝典ライブ、レイウ゛、トランス、自由ラジオ…。 いくつかは著者自身も関わったそれらの活動を通して見える様々な問題を取り上げた佳作。
2010/12/22
そあ
日本では若者の集団性は「族」として表現されてきた(太陽族とか竹の子族とか)。おたくが初めて族と呼ばれなくなった集団であり、族のあとは「系」(ex渋谷系)と呼称されるようになったというくだりがおもしろかった いまだと地雷「系」?
2021/04/13
左手爆弾
カルチュラル・スタディーズの実践活動に目を向けた本。新宿のダンボールハウスや、レイブパーティー、YOSHIKIの天皇祝賀会やライムスターのアルバムジャケットの事件などを扱う。要するに、アカデミズムやジャーナリズムの世界とサブカルチャーの世界にある、ズレを指摘しながら、その隙間を埋めるカルスタの理論を解説していく、といった具合に展開していく。この手のものは、時間による変化が早いため、あるものはあまりにも当たり前、あるものは時代遅れにすぐになってしまうね、という感じはある。自由ラジオはUstになったね、とか。
2014/08/26
quabex
同じ著者の『カルチュラル・スタディーズ入門』と一緒に買ったのだが、どうして買う気になったか、2冊を読み終えた今も、全然思い出せない。考えても分からない。それなりに興味深く読んだからいいのだが。ま、それはともかく。この本の中に出てくる「パーティ」が特定の音楽ジャンル(ヒップホップやトランス)と結びつきが強いように思えるのだが、それはどうしてなのか。
2009/04/17
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