老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書)
老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書) / 感想・レビュー
kinkin
振り込め詐欺というのは半分面白半分で成功したのでそのまま続けてやっているという印象があった。しかしこの本を読むとそれはまったく違い会社組織そのものということ。本書に詐欺店舗はチェーン経営の飲食店に似ていると書かれていたが実はそれ以上ではないか。世の中ではブラック企業が取り沙汰されている、ここに出てくる詐欺集団の研修も一昔前にあった洗脳型であり、詐欺集団の戦士として育てていることに驚く。どんなに辛い目に遭ってもひどいことをしてもカネのためならという若者たちはこれからますます増加していくのではないか・・
2015/06/25
川越読書旅団
この数年、おれおれ詐欺関連の被害が後を絶たない。事実、平成21年の詐欺被害件数は554件だったのだが、平成26年においては1,392件と、3倍近くに膨れ上がっている。正直、詐欺と無縁の立場から言わせると「なんで、騙されるかな~?」なのである。あれだけ騒がれていて、あれだけ分かりやすい詐欺行為なのに、、、と。しかし、この数字に裏打ちされたカラクリが現場ではしっかりと確立されていたのである、、、。悪い意味で目からウロコな内容。
2015/08/18
香菜子(かなこ・Kanako)
老人喰い:高齢者を狙う詐欺の正体。鈴木大介先生の著書。高齢者を狙った詐欺、老人食いがなくならない日本の現状。昔の日本は高齢者、お年寄りが尊敬されていたはずなのに、現代の日本は高齢者は軽んじられ、時として詐欺の対象になっている。高齢化社会で高齢者が増えているといった社会環境の問題なのでしょうか。それとも教育環境や政治環境の問題なのでしょうか。
2018/12/11
skunk_c
詐欺は犯罪であることは論を待たず、著者もその立場を崩してはいないのだが、平成時代に若者に金を回さず、未来への展望を失わせた、「層」としての高齢者世代に対する暗なる批判には同感できる面も多かった。金をタンスに貯め込む老人から詐取するという「正当化」は、道義的には許されないが、経済的に成熟していない社会の一面をえぐっている。非正規化により特に若者の所得を抑えながら、内部留保を貯め込む大企業の「老人」的体質に対する、才能とエネルギー溢れる若者の「反逆」的な捉え方は、現在の社会構造の問題噴出の一形態かもしれない。
2019/08/14
たぬきごんべい
老人を喰う手口が恐ろしいノンフィクション。自己中心的な理屈で詐欺を働き、なけなしの老人のお金を奪い取る、奪い取ること詐欺を行うことすら正義との洗脳で仕事として成り立っている。ここまでの組織が出来上がっていると著者の言うとおり、劇場型老人騙し詐欺は無くならない。海外でも起こりうる犯罪なのだろうか? ★4.0
2017/02/07
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