戦後入門 (ちくま新書)
戦後入門 (ちくま新書) / 感想・レビュー
ころこ
本書は、他の著作が「だ、である」調なのに対して、「です、ます」調になっています。それは、本書が『アメリカの影』から続く、戦後を考察した一連の著作を通観したものになっていることと通じ、著者の従来の読者を広げて、より一般の読者層に届く努力と読み取れます。ところが、鳥瞰したことにより、そもそも著者の考えてきたことと異なるレイヤーに身を置いていないか、という疑問に突き当たります。『戦後的思考』では、アーレントの古代的な公共性に対して、ルソーの私利私欲から近代的な公共性は立法者の存在により挫折するが、ドストエフスキ
2019/10/26
とよぽん
戦後74年が過ぎようとしている。戦後の日本について、多少は知っており、分かっているつもりだった。しかし、本書を読んで肝心の根本のところが分かっていなかったのだと気づいた。この本によって、戦後の日本の問題に「入門」できたと思う。政治、国際関係に関しては専門外の加藤典洋氏だが、やむにやまれぬ思いでこの本を書き上げたのだと思う。そして、惜しいことに鬼籍の人となってしまった。まるで遺言のような本だ。
2019/08/02
ばんだねいっぺい
再読した結果、一回目よりも読みが深まったと言えないことに愕然とする(笑)顕教・密教システムは、ホンネ・タテマエシステムじゃダメか。骨の髄までおじさん的思考の自分を発見する読書となった。
2022/10/18
テツ
現代社会では戦争なんてよっぽどのことがない限り行うメリットがない。反戦活動のためだけだったら過去の悲惨さを学ぶよりも今この時代の戦争から生まれるメリットとデメリットを学んだ方が有効なんじゃないかと思う。ただ先の大戦の前に何があったのか。戦後どういう道を辿り今の日本が創り上げられたのかということを知識として身につけることは鎮魂のために必要だと感じる。大量の生命の上に成り立つこの社会をより良くすることでしか鎮魂のきもちは表せないし、そのためにはまず知らなければならない。今日は終戦記念日だ。
2021/08/15
かふ
新書で640ページは分厚すぎ。最近そういう流行りなのか。アメリカの原爆投下と無条件降伏はセットで日本の内閣は天皇制の存続のために受け入れた。当時の国連の理念がGHQが作ったとされる憲法の理念として交戦権の放棄と軍隊の禁止。その後米軍の思惑が基地の在留。日本が進駐軍の占領政策を終えて自立すれば外国の軍隊はすべて撤退するはずだった。ただアメリカとしては共産圏の驚異があったからアジアの防波堤として軍隊を駐留させて置きたかった。
2019/04/04
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