情報生産者になる (ちくま新書)
情報生産者になる (ちくま新書) / 感想・レビュー
どんぐり
東京大学入学式での祝辞やフィンランドから平等な社会づくりの貢献者として表彰を受けるなど、いまも意気軒高な上野千鶴子氏の「情報生産者になる」ためのノウハウを示した本。中身は「学問のすすめ方」「研究のすすめ方」で、修士論文や学位論文の書き方をまとめたもの。
2019/06/17
けんとまん1007
情報とは何か?生産とは何か?情報を生産する者とは何か?を、繰り返し問われ続けた。一次情報にこだわり、自分の五感で感じ考え、表現する。その意味と、作法が書かれている。良い問いは、良い答えにつながると、以前、何かで読んだ記憶があり、納得したことを、思い出す。非難ではなく、批判すること、この違いは、とてつもなく大きい。始めのほうに書かれていた「最近の国会は議論にすらなっていない・・・」。あまりの稚拙さは、いい影響を及ぼさないあ、意図的なのか、実力のなのか。襟を正して、読み進めた。
2023/01/22
おたま
この本は、上野千鶴子がこれまで、研究者として、また教育者として培ってきた論文の書き方が、具体的なノウハウの次元で全面展開されている。なので、これ一冊の通りにすれば、一つの論文を書くに十分な手立てを与えてくれる。問題意識(ノイズ)の持ち方や、情報収集・分析の仕方(KJ法が中核となる)、あるいは論文執筆後の検討会の持ち方やコメントの仕方、果ては司会の心得まで微に入り細を穿って書かれている。まさに上野千鶴子の手の内の全的な公開であり、惜しげもなく公開されている。
2024/03/25
壱萬参仟縁
社会学のみならず、多くの学問研究に携わる人なら避けて通れない論文の書き方、研究の基本を教えられる一冊。子どもの総合学習であったとしても、ただ情報を得て切り貼りすることではだめだ、と。生涯学習の時代、誰もが研究者として論文を発表できる可能性もある。長く、厳しい研究論文完成までのプロセスではあるが、上野先生が東大新入生に向けて、弱気を助け、必ずしも思い通りにいかない大学生活のことを臆せずおっしゃった理由も本書に書かれている気もした。私も学位を取れるとは限らないが、問い続けられることができればその可能性もある
2019/05/02
Tui
この内容が新書で出ることは革命だと思う。論文を書くエッセンスから学会発表の切り抜け方まで、東大上野ゼミが手間と年月とゼミ生の涙をふんだんに消費して確立したテクニックが、惜しみなく披歴されている。アカデミックな世界にいる人向けでしょ、と手に取らないのはもったいない。論文を書く→プレゼン資料を書く、学会発表→ミーティングや会議、に置き換え可能なのが、この本の汎用性の高さ。ここまで分かりやすく(=しろうと向け©︎うえの)上質なコンテンツが書かれた新書も珍しい。この太っ腹さ、上野氏の代表作のひとつになるだろう。
2018/11/23
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