小説家夏目漱石 (ちくま学芸文庫 お 1-1)
小説家夏目漱石 (ちくま学芸文庫 お 1-1) / 感想・レビュー
chanvesa
江藤淳批判は納得できるが、そこまでの思い込みでなくても、大岡昇平だって漱石後期の作品にやはり漱石自身の思慕や経験を限定的に投影している。『行人』や『明暗』のようにあやしい香りがする作品にはそういう読み方は仕方ないのかもしれない。やはり小説家だからロマンティックな読みは含むのは当然だろう。『行人』は激闘の末にあんまり面白くなくなってしまったけど、その激闘の過程は、サワガニに宗教や世界を見いだそうとする場面が私には最も印象的だけど、何も書かれていないから思い違いかなと、また読まなくてはという気持ちになる。
2017/01/15
i-miya
「アーサー王の死」 テニスン19C「王の牧歌」「シャロットの女」シャロットの女 13C初 フランスで誕生「アルチュ王の死」 イタリア、イギリスで枝分かれ 比較文学的薀蓄 嫂登世 作品の出来が悪いと考えるのが一番妥当なとこを 逝ける日、逝ける事 問題P170 ≪漱石の構想力ー江藤淳「漱石とアーサー王伝説」批判≫
2005/08/19
i-miya
★大岡昇平『小説家 夏目漱石』(ちくま文庫) M25 戸籍を北海道へ移す P131 「ユリの美学 漱石のキリスト教」 教科書的人気 精神異常 大岡 青山学院 M37末 「我輩は猫である」「倫敦塔」 「漾虚集」一挙に P149 「創造の夜明け」 「夢十夜」 のイメージ ロマンチシズムと社会運動P158 ≪江藤淳「漱石とアーサー王伝説」批判≫「薤路行」「アーサー王伝説」 マロリー15C
ken
江藤淳の有名な「漱石と嫂の姦通説」に対する反論が収録されている。確かに江藤淳が自身の論を補完するために作品をこじつけているという大岡の反論は筋が通っている。だが、江藤は漱石の中に自身を見ており、彼にとってはその読みこそ真実なのだ。江藤の解釈は思い込みかもしれないが、漱石とシンクロしている江藤の評論は浪漫があり魅力的だ。一方、実証的態度で自身と漱石との繋がりを断絶する大岡の衒学的な評論は時に退屈だ。勿論、興味深く読めたものも多いし、慎重かつ誠実な彼の姿勢は評価される点だとは思うのだが全体的にドライ。
2015/10/05
ピラックマ
さすが「ケンカ大岡」。江藤淳の漱石論をフルボッコ。これだけでも読む価値あり。500頁だが字が小さく相当なボリューム。講演の収録が多いがそれでも広範な知識に圧倒され読み進めるのには結構骨が折れた。こういうディレッタントって今居ないよなぁ、明治生まれの文人はやっぱりカッコイイわ。
2011/11/21
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