江戸の想像力 (ちくま学芸文庫 た 2-1)
江戸の想像力 (ちくま学芸文庫 た 2-1) / 感想・レビュー
うりぼう
2010年、私のベスト2位。私の想像力を遥かに超え、年頭からラッキー。昨年末に週間金曜日のシンポで田中教授を知り、ファンになり、本を買う。章を追うごとに面白さが広がり、最高が松田修氏のあとがき(田中先生すみません)。縦横無尽、正に松岡正剛の江戸語りを聴いているかのよう。金唐革に始まり、源内論、「連」による解体新書、中国・日本の「物語」る方法、「廃墟」を至上の美とする「源氏物語」、民衆の世界観、「俳諧」の方法に繋がる相対化の手法、源内の対極に「春雨物語」の秋成、秋成は、下降してゆく浮世、フラジャイルを見る。
2010/01/08
紙狸
1986年に刊行され、92年に文庫になった。筆者は、若く、物知りで、構想力に富み、思いのたけを原稿に注ぎ込んだーーという印象を受けた。ついていけない箇所は多い。面白く読めて刺激を受けたところも多い。江戸時代を特徴づける人間関係「連」をあつかった第二章がしっくりきた。オランダ語の原書を翻訳して『解体新書』を出版したグループのメンバーも、それぞれ参加動機が異なっていた。例えば前野良沢は「蘭学をすることだけを人生の楽しみ」としている変人だった。現代に「連」は生きているのだろうか。
2021/05/14
rokubrain
対象を徹底して突き放したような江戸人(天明期)の姿勢は輸入ものに留まらない。 それまでの確立されていた常識や古典(中国経由の)をも改めて客観視、相対化していく。(新しいものを決して絶対化しないところが習性のようである。結果、行き着く先に国学が出てきたのも、さもありなん)挙句に古典をパロディー化していく態度は、相対化のエネルギーがほとばしっている。 俳諧やそれを確立させる「連」というネットワークがこの時代の底流にあった。社会の大衆化と国際化(鎖国は形骸的)が同時に起こるときの人間の想像力の賜物なのかな。
2015/05/17
akiu
平賀源内の不思議な活動を中心に、18世紀江戸の文化を語る本。硬くもなく柔らかくもない、独特の語り口で話は多岐に富みます。飛びすぎて着いていけなくなる部分も多々ありましたが、最後の松田修による解説が素晴らしく、内容を一本芯を通すようにまとめつつ、枝葉の部分も面白く語るという感じで、本書を見事に補完していると思いました。平賀源内、上田秋成に対する興味が湧いてきております。
2012/02/14
MrO
いやはやヘンテコな時代。我々はその子孫なんだが、明治がいけなかったのか?
2019/06/22
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