悪霊論 (ちくま学芸文庫 コ 4-2)
悪霊論 (ちくま学芸文庫 コ 4-2) / 感想・レビュー
風太郎
他の読者も書かれているように、『異人論』の拡張版といった感じでした。面白いと感じたのは、御霊信仰、悪霊憑きとその調伏の仕方が述べられていた箇所ですね。災害とか病気とかの原因を、昔の人はこう考えていたのかということがよくわかりました。この著者の方の本は、多くが簡便な語り口で書かれてあり、難しい学問的なことが読者に伝わりやすいように工夫されているなと思います。またこの方の別な本を見つけたら、読んでみたいです。
2018/05/10
AR読書記録
伝説が産み出される(っていうか見いだされる)のには、それを語り出すシャーマンや僧などが大きな役割を負っている。となると、そのシャーマンたちがどういうふうにそれに向かっていたかが気になるな。適当な第三者として、村人たちが考えてはいるけど言えないことの代弁者として呼び込まれているのか。それがちゃんと伝わったうえでの託宣なのか。後世に伝わる“託宣”自体、語られた言葉そのままではないだろうしな。考えるときりがないな。後半は短い読み物が多く、たのしい。
2015/02/22
あなた
小松和彦の業績って、民俗学タームを文化人類学タームに読み換え=置換していくことだったんだなあとあらためて納得。つまり、小松はインターディシプリン(横断領域的)な越境者であり、彼自身が「異人」であり「シャーマン」であったともいえる。異人は固定化された価値を流動化し、シャーマンは事象の読み換えを行うのだから
2009/07/15
刳森伸一
あとがきでも語られているが、同作者の『異人論』の続稿的な論考集。『異人論』と同様に内容も興味深く、語り口も上手い。
2016/10/28
ハチアカデミー
C 異界からのメッセージというサブタイトルに惹かれたのだが、内容は『異人論』と『憑霊信仰論』に関わる小論を集めたものだった。全体的に雑多な印象はうけたが、伝説の変容を、社会の変化に結びつけた「異人殺し伝説の歴史と意味」は白眉。「村はちぶ」をめぐる論考も面白い。昔話や伝説が生まれる社会的背景や生成の現場を解き明かさんとする気概を十分に感じることができた。
2011/12/11
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