遠野/物語考 (ちくま学芸文庫 ア 2-4)
遠野/物語考 (ちくま学芸文庫 ア 2-4) / 感想・レビュー
翔亀
柳田国男の民俗学を否定しながら柳田から離れられない著者の格闘の書。柳田という過剰に過ぎる解釈者があまりにも文学的に美しく語ってしまった「遠野物語」に隠されたもの、すなわち近代が見失ったもの=原・遠野物語を、徹底した読解により浮かび上がらせようとしている。単なる理論的な解説でもなく、逆に自説による読み替えでもない。一歩一歩手探りで読み込む手つきは、快刀乱麻を断つ快楽とは対極にあるもどかしさがあるが、見えなくなったものを見ようとする彼方にかすかに何か見えるような気がした。それを一言では言葉にできぬ悲しさ■93
2014/01/25
Y.C.STUPID
メモ、読んだのは荒蝦夷刊の増補版。
2019/01/14
紅独歩
アマゾンに登録されていないので表示できないが私が読んだのは、ちくま学芸文庫ではなく荒蝦夷版。「遠野/物語」とスラッシュを入れた表記は、「物語」を柳田國男の手から遠野に取り戻そうという作者の意気込みのあらわれである。もっともそれは柳田を軽んじるものではなく、徹底的に読んだ末に至った境地だ。特に「オシラサマ」のイメージを解体していく「白神考」、遠野とアイヌ・蝦夷・縄文の関係を語った「地名考」は刺激的。
2010/03/10
林克也
遠野物語の成り立ち、柳田國男が物語とした考え方、そもそもなぜ佐々木喜善と柳田國男とがこの”物語”に絡んでいたのか等、とても参考になった。
2010/06/26
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