歓楽と犯罪のモンマルトル 上 (ちくま学芸文庫 シ 13-1)
歓楽と犯罪のモンマルトル 上 (ちくま学芸文庫 シ 13-1) / 感想・レビュー
ラウリスタ~
ルイ・シュヴァリエの業績としては『労働者階級と危険な階級』の方がずっと重要なのだが、日本ではこっちの方が先に訳されている。本書は『労働者…』では十分に扱えなかったパリ北西部の外郭ブールヴァール沿いの歓楽街を扱うが、体系的な研究というよりもこの地に関わるあらゆるものをごった煮にしたような印象だ。郊外地域の発展の極一部(地理的にも、また文化的にも)を扱うため、やはり『労…』を読んだ上のおまけと考えるべきだ。本書では文学作品をほとんどそのまま資料として用いており(ように受け取られかねない)、人口学的分析などなし
2020/05/29
ろべると
モンマルトルというと、サクレ・クールからのパリ市街の眺望や似顔絵描きが集まるテルトル広場を思い出すかも知れない。これらは丘の上、「光」のモンマルトルだ。本書が描くのは丘の下の方、プールヴァールの雑踏やシャ・ノワールなどのキャバレー、ムーラン・ルージュなどを舞台に、歓楽の限りを尽くし、犯罪の温床となった「影」のモンマルトルだ。この上巻では19世紀までを描く。かなりの大作で正直骨が折れたが、当時の爛熟したエネルギーの噴出を垣間見る思いがして、興味深く読んだ。
2023/02/02
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