錯乱のニュ-ヨ-ク (ちくま学芸文庫 コ 12-1)
錯乱のニュ-ヨ-ク (ちくま学芸文庫 コ 12-1) / 感想・レビュー
meri
『錯乱のニューヨーク』は、NY建築のキャノンのひとつとして認識されている。本書によればマンハッタンは 摩天楼などに象徴されるユートピアへの憧れと瓦解を経てきた過去の堆積、つまり「20世紀のロゼッタストーン」なのである。コールハースはマンハッタニズムにいちおうの定義を与えることを目的としており、多様性を破壊する1920年から30年にかけてのコルビュジエの建築様式に異を唱えてもいる。
2015/12/16
香菜子(かなこ・Kanako)
錯乱のニューヨーク。レムコールハース先生の著書。世界中の人が憧れるニューヨークの歴史やニューヨークが抱える問題点を建築家の先生の視点から指摘した一冊。ニューヨークに行ったことがある人でもそうでない人でもきっと楽しめる良書です。
2019/07/19
ドン•マルロー
表紙を飾るのは仲睦まじく添い寝する二棟の高層ビルのイラストである。この表紙自体、大変にセンセーショナルなものだが、本書の内容はこの表紙といみじくも融合するか、もしくはこれを凌駕するものでさえある。むろんアーキテクチャ的アプローチが主眼であるが、物語的な読み方も存分に堪能できるのが本書最大の魅力であろう。遊園地等の娯楽施設を端緒として出発したマンハッタンの尽きることを知らぬ開発の旅は大衆文化によって設立、消尽され、最後にはロボトミー処置の施された摩天楼の林立に至る。その必然を読者は知らされることになるのだ。
2020/03/28
エリナ松岡
ジョジョがホラーと呼べるならば、本書は建築ホラーとでも呼べるでしょうか?何とも言えない味があり、面白いことには違いないです。ただ、延々と続く皮肉に読み終わったら疲れ切ってしまいました。これを読んで建築におけるどの部分について理解を深めたか定かではありませんが、ニューヨークに限らず、高層ビル群に対する見方は随分変わったのは確かです。最も、現代の日本の場合は、最近読んだ藤村龍至氏の著書に出てくるような、JRの各ターミナル駅の真上に聳える巨大建築物達が、本書に登場する妖怪じみた建築物に一番近い気がします。
2018/09/02
たばかる
有名で一般人でも親しみやすい建築学本と聞いて一読。マンハッタンをある種の社会的暗示を込めて、いわゆる芸術作品としての構造を、強烈なメタファーとともに紹介している。携わった様々な人たちに焦点をあててく中でも4章以降のダリとコルヴィジュエの独特の感性を用いて社会を建築に表現しようとする中での失敗の話は印象的だった。「建築。それは人から依頼されることもなく、ただ創造者の心の中で理論的仮定の雲として最初は存在していただけの構造物を世界に建てる行為である。」(本文より)
2018/08/26
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