甘美な人生 (ちくま学芸文庫 フ 15-1)
甘美な人生 (ちくま学芸文庫 フ 15-1) / 感想・レビュー
しゅん
1995年に発表された最初の文芸論集。福田はこの世界にあるもの、酸鼻も不可解も醜悪も全てをまずは受け止めて認識するべきだという倫理を基礎に置いている。柄谷行人の文の「上演性」に対する批判も、事前に用意されたシナリオにない「外部」(柄谷自身が好む言葉)を排除していると考えるから。最初に事実誤認を指摘し、しかしそれこそが美点であると反転させ、本当の欠点は美点の奥にあるとさらにひっくり返す柄谷論の構成はマジで気持ちいい。そして、福田の面白いところは、柄谷的「外部」に「日本」という(厄介な)名を与えた点にある。
2021/04/08
ダイキ
福田和也の第一文芸批評集。福田和也はその初期、つまり「ひと月百冊読み、三百枚書く」なんて事をし出す前は凄かったという事をよく聞くけども、確かにこれほど惚れ惚れする文章は滅多に読んだ事がない。惚れ惚れといっては聞こえは良いものの、それは段々と寒気にすり替わってゆくようなもので、外貌の論理こそは彼の敬慕する保田與重郎のそれでも、懐胎している思想は川端康成的な“魔”に断然近く、単に審美的な趣味から好ましく思っていなかったにすぎない福田の肖像が、本物の悪魔のように見えてきて薄気味悪くなってくる。
2018/04/29
aquirax_k
必読。死ぬほど面白い。
この世はもう時期おしまいだ
柄谷批評を解体せしめる「柄谷行人氏と日本の批評」は圧巻のひと言。
2015/05/19
concoction
近年の著作は歴史上の人物を題材にしたものや、政治に絡んだものが多いが、本書は氏の批評観をどストレートに宣言したもの。とてもおもしろく、何度読み返したかわかりません。
2014/09/11
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