メタフィクションの思想 (ちくま学芸文庫 タ 18-1)
メタフィクションの思想 (ちくま学芸文庫 タ 18-1) / 感想・レビュー
Ecriture
描く対象のフィクション性を暴くメタフィクションという古びた論調に別れを告げ、メタフィクションという様式自体が後期資本主義イデオロギーの一表象であるような「メタフィクションの謀略」を考察する。私たちがフィクションを書いたのか、フィクションによって私たちが書かれたのか。ポストモダニズムを通過した胡蝶の夢の様相を、ピンチョン・筒井康隆・沼正三・エリクソン・ラッカーらの現代作家たちを通じて明らかにする。これぞ!一流の仕事!
2012/01/21
三柴ゆよし
すごく頭のいい人が書いた本。
2019/04/10
えふのらん
メタフィクション応用編。フィクションへの第三者的視点やそれを利用した虚構性の告発かと思いきや、第三者的態度を支える作家や読者の分析だった。 ゴールドスタインの影響下で書かれたウィストンのノートの虚構性、ピンチョンに湾岸戦争におけるV3とその枠外の立ち位置をとりながら枠内で読んでしまう読者、ペンを握る手を戯画化した筒井、アリスと共に地球の裏側へと落ちるポー、家畜人ヤプーや幼年期の終わり諸々に内在するマルクス批評的感性。メタフィクションの第四の壁を崩したようなユーモアあふれる傑作。
2015/08/02
Lian
博識に満ちた名著。メタフィクションがどうして20世紀後半に流行し、現在これほどまでに蔓延しているかということを考える上で外せない一冊。
2012/07/03
peeping hole
エリクソンが読みたくなった。巽孝之何読んでも、それ自体が小説みたいで面白い。高山宏の解説だけやたらと「世界のタツミ!最新の技法でハスミを置き去りに!」と言っていて意味不明。
2021/03/01
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