奇想の図譜 (ちくま学芸文庫 ツ 7-2)
奇想の図譜 (ちくま学芸文庫 ツ 7-2) / 感想・レビュー
zirou1984
自伝曰く『奇想の系譜』の姉妹版を狙ったつもりの気ままなエッセイで、当時の売れ行きはさっぱりだったと自嘲しているが、個人的にはこっちの方が好きかも。からくり・若冲・かざりを中心としたポップな作品が肩の力が抜けた文体で取り上げられており、白隠と仙厓を代表とするラブリー禅画について言及されているのもポイント高い。「見立て」の思考方法が日本的であるという指摘は意外であり、奇想という主題が本書において"あそびとかざり"というおもしろさに昇華されており、日本美術とエンタテイメントが接続される驚きに満ちている。
2019/01/06
sputnik|jiu
白隠目当てで読んだ。日本美術史を「奇想」というキーワードで体系化した、非常にアグレッシブな著作。「芸術=美しいもの」的な思考停止な考え方を吹き飛ばしてくれる。シンメトリーなものが好まれる西洋美術に対して、日本美術の造形の異様さが浮き彫りになっており、とても興味深かった。白隠はもとより、曽我蕭白と伊藤若冲がスマッシュヒット。特に若冲、気持ち悪すぎる。次につながる好い読書。
2013/03/31
サイバーパンツ
奇想の系譜はその名の通り奇想の作家たちの系譜を辿るものであったが、本書は図譜であるため、国境も超え、縦横無尽に奇想の作家たちの作品に触れていく。前著に比べると知名度が落ちるが、こっちも面白い。北斎の絵なんて完全にマンガとかアニメーションの世界だよ。躍動感とガジェットの詰め込みようが半端ない。
2016/07/04
Noelle
「奇想の系譜」の姉妹編とはいえ、体は異なる。前書の江戸の奇想画家の個性的な仕事に対し、こちらは日本美術が内包するおもしろさ、遊びの精神を古今東西縦横無尽にその源流を探る。美術のみならず、文化史的に概論しているのがとてもわかりやすい。北斎、白隠、若冲もだが、最後の飾りの奇想の章はまさに、バサラから荘りの文化のありよう、かぶく風流、見立ての文化、陰陽の風流ときては、なんだか全て説明されたかのようで、とても納得。これ30年前の本。今の流行りの美術展なんて、やっと辻さんに追いついたということ?文庫で復刻されて◯。
2018/03/09
時代
ちょっとマニアック過ぎました。ついていけなかったわ△
2024/04/21
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