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動物と人間の世界認識: イリュ-ジョンなしに世界は見えない (ちくま学芸文庫 ヒ 11-1)

動物と人間の世界認識: イリュ-ジョンなしに世界は見えない (ちくま学芸文庫 ヒ 11-1)

動物と人間の世界認識: イリュ-ジョンなしに世界は見えない (ちくま学芸文庫 ヒ 11-1)

作家
日高敏隆
出版社
筑摩書房
発売日
2007-09-10
ISBN
9784480090973
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動物と人間の世界認識: イリュ-ジョンなしに世界は見えない (ちくま学芸文庫 ヒ 11-1) / 感想・レビュー

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扉のこちら側

初読。2015年1230冊め。「われわれは何をしているのか」「色眼鏡でものを見てはいけない」等、日高先生の名言には感服。ドーキンスによるミームという概念をイリュージョンとして考えるという発想もおもしろい。アゲハチョウは赤が好きだけどモンシロチョウは赤が見えないとか、そういえば子どもの頃は本で読んで覚えていたけれど、いつの間にか忘れてしまっていたな。

2015/12/21

taraimo

黄色い菜の花畑にモンシロチョウが飛ぶ風景は、情緒的だけれど、蝶の目的は意外であり、またアゲハとモンシロの行動の違いも初耳。豊富な色彩を知る人間にも弱点があり、紫外線を認識できる昆虫たちの世界を見ることができないし、匂いや音の感知度に優れた彼らの環世界は神秘的。気温や水分や光など一定の条件の中で忠実にサイクルを継続する植物や、精神(心)が働き行動する小さな虫や動物たちは、人間のように自らの意思で生死を選択できずに、たぶん命の尽きる時までをひたむきに生きるのだろう。そんな純粋で健気な生き方を受け止めました。

2021/06/21

nbhd

「客観的」「事実」「科学的」といったものに揺さぶりをかけてくる、よい本。ユクスキュルの「環世界」概念を、人間も射程に入れて丁寧に解説した本。「生き物はそれぞれ独自の知覚にもとづく世界を生きている」というのが環世界の考え方。これを人間にあてはめると、「科学」も「宗教」(たとえば輪廻思想)も、人間独自の知覚の産物(おもに脳?)ってことになる。「万葉集の時代にチョウチョはいたけど、万葉集にチョウチョは出てこない」の例みたいに、人間の知覚の対象になって、はじめて「見える」ものになるって、揺さぶられるわ。

2017/04/21

サイバーパンツ

生物はみな、それぞれの主観=イリュージョンを通して、世界認識しているという話。ユクスキュルの環世界論に至るまでを、様々な動物の例を上げながら、分かりやすい言葉で、丁寧に解説していってくれている。ただ、最後の科学文明に拡張する所は、著者が無根拠に自分の見解を述べるので、知の欺瞞的な胡散臭さを感じた。とはいえ、基本的にはとてもわかりやすいので、『生物から見た世界』の副読本としておすすめです。

2016/11/09

マーブル

動物がその知覚によって、それぞれ異なる世界を持っているとするユクスキュルの考え。著者はそれを人間にまで押し広げ、主観的な世界を「イリュージョン」と名付けた。いつもの日高氏らしい柔らかい語り口で始まった動物の世界観の話は、ユクスキュルの語り直しだと思いきや、いつの間にか人間の認識について考えさせる哲学的色合いを帯びてくる。「われわれの認知する世界のどれが真実であるかということを問うのは意味がない」とする著者の考えを受け我々は、「だから自由勝手にやる」とするのか「だからこそ対話が必要」と考えるべきか。

2022/03/05

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