カントの批判哲学 (ちくま学芸文庫 ト 7-3)
カントの批判哲学 (ちくま学芸文庫 ト 7-3) / 感想・レビュー
msykst
解説が白眉。この本でドゥルーズは「批判哲学を、諸能力という項からなる置換体系に還元するという一種の形式化作業を行い、それによって、システムの基礎、すなわち、システム自身では基礎付けられない点を明らかにした(P213)」。逆に言うと、カントは超越論的な領域を「想定」してしまっている。従って必要なのは、「想定」ではなく「発生」を描く事、とりわけカントが経験の基礎として据える「主体」の発生を描く事だと。で、ドゥルーズが後に論じる「出来事」や「差異」「潜在的なもの」を経て「内在平面」に至るまでの出発点がここだと。
2018/02/28
wadaya
哲学者の他者論的なものはちょっと苦手である。著者の考えなのか論じられている者の考えなのか混同してしまう時があるからだ。私はカントの三大批判書を全部読んでいないので、カントを語ることはしない。あくまでドゥルーズの考えとして本書を読んだ。また私の考えも独断と偏見なので、そういうものとして読んでいただきたい。 カント曰く、理性には目的があるという。目的とは意志を規定する「表象」であり、対象と結び付けられる。表象とは呈示されたものを反復することで、多様なものの総合、つまり認識の総合でしかない。→
2021/12/06
hitotoseno
本書は確かにカントの三つの批判書を論じているがそれらの要約などではない。ここで展開されているのは、カントさんは主体が現象を通じて客体を従属させるっていうけど、それってアンタが批判したライプニッツの予定調和の焼き直しじゃねえ? とツッコミを入れてカントを解体するばかりか、カントの用意した道具をドゥルーズ流に解釈して新たに超越論的な領域を組み立てるというクーデターに等しい試みなのである。たとえばカントは『純粋理性批判』で感性は構想力を通じて悟性と結び合わされ、理性はあくまでも理念を打ち出すだけだと説いた。
2016/02/13
mittsko
カントとドゥルーズを一遍に勉強できるお得本(*'▽') 訳者・國分功一郎さんの解説がそれを充分手助けしてくれる(ドゥルーズの本文・原注が161頁に対し、訳注・訳者解説がなんと68頁!) 原著は1963年刊、38歳のドゥルーズはここで、カント三批判書の独自な読解を試みる 後にポスト構造主義をけん引することになる若き哲学者が、近代西洋哲学の開祖に果敢に挑む一冊というわけだ ただし、ドゥルーズはまだカント哲学の乗り越えを果たしてはいない これはその準備段階である その点で講談派と呼びうる、実に真っ当な哲学書だ
2018/01/31
大ふへん者
先日読んだ『ドゥルーズの哲学原理』が大変助けになった。先に『経験論と主体性』読んだ方がよかったかも。
2014/02/10
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