言葉と戦車を見すえて (ちくま学芸文庫 カ 13-3)
言葉と戦車を見すえて (ちくま学芸文庫 カ 13-3) / 感想・レビュー
yumiha
「私の民主主義の定義は、強きを挫き弱きを援く」という言葉に、忘れていたものを思い出すような懐かしさを感じた。イマドキは、弱い者にもへばりついて、搾り取ろうとする輩のニュースばかりだからね。岸信介が議席の多数をたのんで、ロクに論議もせず深夜に安保条約を可決・承認した、というくだりは、つい数日前の国会を思い出させた。ベトナム戦争の分析は、ISにつながるもろもろへの示唆があるように思った。「悪徳が戦争を準備し、美徳が戦う」は深い。
2017/06/22
まると
ロシアによるウクライナ侵攻の折、プラハの春を扱った表題作が参考になるかと手に取ったが、時代背景が違い過ぎて参照程度にとどまった。「大国に対する小国の力の源泉は、何よりも精神であり正義の言葉である。それがなくては圧力に到底耐えぬくことができないだろう」。この言葉を認めただけでも読んだ甲斐があったと考えたいところ。27ある論文の大半は、戦後の左翼的知識人を代表する論理構成だが、時事性の高いものほど現代に当てはめるにはちょっと古すぎる。名著「日本文学史序説」の着想論文ともいえる「戦争と知識人」は興味深く読めた。
2022/05/12
壱萬参仟縁
高校で非常勤講師をしていた時に、加藤先生はお亡くなりになったのを思い出した。戦争は、資本主義、産業の膨張、軍国主義などの下(基盤)にある(013頁)。平和の上には何が築けるか。健康、幸せ、自由ではなかろうか。今朝のニュースでは5年後には高校日本史を必修にする動きがあるという。世界史必修に加わるのだろうか。天皇制には批判的な著者(023頁)。自国文化への関心が薄れていった時代(149頁)。わたくしはせめて通訳案内士の学習を通じて取り戻して魅力を発信しようとしている。容易なことではないと自覚している。
2014/01/06
シンドバッド
大江健三郎がいつも手元に置いて読んでいる本の一つ。 加藤周一の原点。
2016/08/03
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