太郎誕生 岡本太郎の宇宙2 (ちくま学芸文庫)
太郎誕生 岡本太郎の宇宙2 (ちくま学芸文庫) / 感想・レビュー
roughfractus02
母子、父子という役割を超えて生命がぶつかることで感情が生まれ、感情が個々の生命を引き寄せる。子供のようにパリの息子を溺愛する母と童女のように母を叱る息子は、菩薩のように妻を信仰して妻の急死に抜け殻のようになる父にも一つの生命として対峙する。そんな父母との書簡のやり取りの中で芸術家となっていく著者は、一方でパリでの都市の虚無感を、戦争における異国の自然の崇高な虚無感にまで高め、異質な他者として戦後日本の焼け跡に立つ。この異質な生命は、定住化した社会と家畜化した人間への問いを、焼土から復興する日本にぶつける。
2023/04/09
りっとう ゆき
自伝的な文、つまり氏の人格に強い影響を与えた家族、パリ、軍隊などについてまとめられているもの。人物を知る上で一番分かりやすい本だと思う。これまでに何冊か岡本氏の著作は読んでいたので重複するところが多かったけど、その中で、父・一平、母・かの子との書簡のやりとりにかなり胸を打たれた。(ちくま[岡本かの子]にも少し収録されているが)親子の愛情もありながら芸術家同士の葛藤や思想のぶつけ合いがすごいし、あと、文学的。太郎とかの子の内面についてもかなり知れる。太郎もかの子も苦しんで生きてたんだとわかります。
2020/10/17
ラウリスタ~
前半は太郎の母親かの子からの手紙。太郎の親は二人とも芸術家。ひとりパリに残した息子を思う母の手紙を読むと、かっこよく悩んでいる太郎とのギャップににやりとする。太郎も母からみればなんにも出来ない子供だったんだろう。それがいつのまにやら逆に息子に諭されたりと、なかなか面白い。とはいえ、それだけじゃ読んでもしょうがない。後半は太郎のパリ遊学時代から二等兵時代にかけての回想。太郎の芸術の変遷だとかも概観できる。二等兵時代のエピソードもなかなかおもしろい。ピカソ論が秀逸かな。
2012/03/05
tototo
ピカソ個人の話は(たくさん映像があるのに)多そうで少ないし、岡本太郎の目を通してだと、さらに楽しい。岡本太郎は、文章ももっと評価されるべきだと、もっともっと読まれればいいのにと、どの著作を、何度読んでも思うけれど、他の作品があれだけすごければ、それもままならないのか。この色ない作品のエネルギーもすばらしい。
2013/10/16
ナカユ〜、
小説として解釈できる。あくまでも個人的な解釈だけど。
2012/08/08
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