日本の最深部へ 岡本太郎の宇宙 4 (全5巻) (ちくま学芸文庫 オ 18-5 岡本太郎の宇宙 4)
日本の最深部へ 岡本太郎の宇宙 4 (全5巻) (ちくま学芸文庫 オ 18-5 岡本太郎の宇宙 4) / 感想・レビュー
roughfractus02
「アンチ」は反対でなく挑戦であり、挑戦は「自他に対する挑み」だと著者はいう。沖縄を「日本人の心のふるさと」という時、自らの立場を主張するために「沖縄」を擁護すると同時に自らの立場と戦う両面的な挑戦の過程が、著者を「沖縄」に出会わせる。自他を分けること自体に挑むその過程は、分けることを旨とする理性の論理と異なる論理を感性に見出す試みとして記される。力が現れないことが力が現すことの前提であるオシラの呪術や密教の両界曼荼羅に無時間の時間のような矛盾に出会わせるこの論理は、沖縄の地に無の中の有を著者に直観させる。
2023/04/11
ラウリスタ~
さすがに飽きがくる。岡本太郎の芸術論は非常に感銘を受けるし、その強烈なエネルギーに奥底から揺り起こされるのだが、彼の民俗学的記述はそこまで面白いとは思えない。ソルボンヌで社会学や民俗学といった具体的な学問を修めることが彼の芸術において重要であったそうだが、だからといって民俗学における太郎の文章が一流であるとはいえないのだろう。もちろん、興味深い点も多いし、現在では消えてしまいつつある原初のエネルギーを見つめなおす太郎の視点を面白い。ただ、前の3巻を読んでいる者としては、どうしても竜頭蛇尾に思える。
2012/04/20
J. Tamura
日本各地に根付く祭りや神事、宗教の紀行文及び日本文化に関する対談記事などが収録されている。著者は日本のこれからの芸術を考える上で、各行事に久しく根付く、生きていくための圧倒的な活力が要になると考えた。明治以降の官僚化が地方の文化を抑圧した点を辛辣に批判するとともに、地方が抱える文化のコンプレックスに対しては早急に解放されるべきと括っている。各行事の根底に流れる活力は文章上でも圧倒的に感じられ、特に沖縄八重山の悲歌・久高島のイザイホー、花田植、諏訪の御柱祭が印象的であった。梅原猛とのユニークな鼎談も面白い。
2020/07/12
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