ゲーテ スイス紀行 (ちくま学芸文庫 ケ 6-6 Math&Science)
ゲーテ スイス紀行 (ちくま学芸文庫 ケ 6-6 Math&Science) / 感想・レビュー
Gotoran
有名な『イタリア紀行』の12年前から3回、スイス旅行をしてるゲーテ。本書は、翻訳者木村直司氏が『市と真実』第4部、手紙類から抜粋・編集して『ゲーテスイス紀行』としたもの。ゲーテが、後の形態学、地質学などの自然科学探究に結び付いたスイス・アルプスの多種多様な自然を体験したことを窺い知ることができ、実に興味深かった。編訳者の”まえがき”および巻末の”ゲーテとスイス”が本文理解に役立った。また『形態学論集』植物編、動物編、『地質学集』鉱物編、気象編をも読んでゆきたい。
2020/08/30
壱萬参仟縁
背帯が水色で自然科学のジャンル本に分類。J.ラスキンも書いていた、1779年時点でのシャモニー谷が出てくる(147ページ~)。モンブラン。詳細な道中記。地名があってすぐにそこの叙述を進める、息つかせぬ展開。26歳のときのゲーテのみずみずしい感性が反映。234-5ページにシャウハウゼンのライン瀑布はダイナミックなヴォヒャーによる絵で見て取れる。水車小屋と小川の美しい詩が印象的(259ページ~)。シラーにも手紙が書かれている(318ページ~)。主観的な思想と感情に駆られる疾風怒濤時代(表紙裏、214ページ)。
2013/02/20
よみこ
ゲーテの自然研究への関心がスイス各地をめぐる厳しい旅で培われる。18世紀、徒歩や馬による旅の描写も貴重。「旅はゲームに似ています。それにはいつも勝ち負けがあり、これは思いがけない側から起こります。」「スイスのような国を知っていて幸いです。私はこれから先どうなるか分かりませんが、そこにとにかく逃避する場所があります。」
2017/07/02
シンドバッド
ゲーテ研究者でなくても気軽に読める一冊。木村さんの編集の妙。
2012/12/01
Fumitaka
ゲーテ本人も途中で(1779年11月9日)言ってますが『イタリア紀行』に比べると人の話はあんまり出て来ないですね。基本スイスの自然描写と、ときどきこういう人の手に負えないものに触れて、それをどう受け止めるかというお話が、さすが文豪ゲーテ、人間がそれをどのように感じどう処理するものか語っている。「私はまた、イタリアへきっと行けるようになると確信しています」(シラー宛、1797年10月14日)。時々、ナポレオン戦争の動向に関わる話が入る。いつの間にか俺も人の動向ばかり気になる人間になってしまったようだ。
2021/02/11
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